虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
レベル限界 前篇
連続更新です(04/12)
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「……レベルを上げる前に、職業に振られる経験値について考えよう」
アイプスルにて、そんなことを呟いた。
迷宮のイベントを経て、俺のレベルはついに999に達する。
いや、正確にはまだそうではない。
そうできるだけの経験値を、魔道具に保存しているのだ。
解放すれば、それだけで大量のレベルアップが発生してそこへ至る。
至るのだが……俺はできるだけ、損はしたくない性質なので。
種族レベルと職業レベルは同時に成長していく、故に種族レベルを999にあげようとする今……同じだけ、職業レベルにも何かしらの恩恵を与えておきたい。
「何かいい方法はないだろうか?」
《旦那様、それでしたら朗報が》
「……朗報?」
《はい。解放された【救星者】の能力、そこに経験値を割り振ることができます。旦那様がこれまでに得た能力を強化し、さらなる成長を促すことが可能です》
なんか、ゲームの玄人が好みそうなシステムが使えるようになったようだ。
要するにポイントを割り振ることで、これまで使っていた能力を強くできるらしい。
「何かデメリットとかは?」
《ございません。“職業系統樹”によって就いている職業とは別として、経験値を割り振らなければならない点がいちおうのデメリットですが……旦那様であれば、まったく問題になりませんので》
「まあ、それは普通か。二つ職業があれば、同時じゃなくてそれぞれ別に経験値が割り振られる。それはおかしいことじゃないわけだし、普通にそうなっても避ける方法はある」
ゲームによっては、複数の職業に就くことができるものがあった。
そういうときは用途の異なる職業に就くことで、得られる経験値を増やせる。
戦闘職であれば被ってしまうであろう経験値、それを戦闘職と生産職に分けることでそれぞれの行動で得られるようにする……というような方法だ。
職業によって、一定以上のレベルでは特定の方法でしか経験値を得られない場合もあるが……それ以外であれば、俺は経験値を自在に割り振ることができる。
「で、何に割り振ればいいんだ?」
《“職業系統樹”へ。おそらく、旦那様風に言うところの『面白いこと』が起きるかと》
「……へー、面白いことか。『SEBAS』にそこまで言わせるなら、レベル999に至るよりも面白くなるかもな」
確信は無い、だがほぼ間違いなくそうなるだろう。
嘘を吐かない『SEBAS』がそういうのだ、それは起きる事実を予め言っただけだ。
「じゃあ、そういう設定にしておいてくれ。そして、そのまま始めよう」
《畏まりました》
──そして俺は、休人の中でもっとも早く頂へ手を伸ばす。
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「……レベルを上げる前に、職業に振られる経験値について考えよう」
アイプスルにて、そんなことを呟いた。
迷宮のイベントを経て、俺のレベルはついに999に達する。
いや、正確にはまだそうではない。
そうできるだけの経験値を、魔道具に保存しているのだ。
解放すれば、それだけで大量のレベルアップが発生してそこへ至る。
至るのだが……俺はできるだけ、損はしたくない性質なので。
種族レベルと職業レベルは同時に成長していく、故に種族レベルを999にあげようとする今……同じだけ、職業レベルにも何かしらの恩恵を与えておきたい。
「何かいい方法はないだろうか?」
《旦那様、それでしたら朗報が》
「……朗報?」
《はい。解放された【救星者】の能力、そこに経験値を割り振ることができます。旦那様がこれまでに得た能力を強化し、さらなる成長を促すことが可能です》
なんか、ゲームの玄人が好みそうなシステムが使えるようになったようだ。
要するにポイントを割り振ることで、これまで使っていた能力を強くできるらしい。
「何かデメリットとかは?」
《ございません。“職業系統樹”によって就いている職業とは別として、経験値を割り振らなければならない点がいちおうのデメリットですが……旦那様であれば、まったく問題になりませんので》
「まあ、それは普通か。二つ職業があれば、同時じゃなくてそれぞれ別に経験値が割り振られる。それはおかしいことじゃないわけだし、普通にそうなっても避ける方法はある」
ゲームによっては、複数の職業に就くことができるものがあった。
そういうときは用途の異なる職業に就くことで、得られる経験値を増やせる。
戦闘職であれば被ってしまうであろう経験値、それを戦闘職と生産職に分けることでそれぞれの行動で得られるようにする……というような方法だ。
職業によって、一定以上のレベルでは特定の方法でしか経験値を得られない場合もあるが……それ以外であれば、俺は経験値を自在に割り振ることができる。
「で、何に割り振ればいいんだ?」
《“職業系統樹”へ。おそらく、旦那様風に言うところの『面白いこと』が起きるかと》
「……へー、面白いことか。『SEBAS』にそこまで言わせるなら、レベル999に至るよりも面白くなるかもな」
確信は無い、だがほぼ間違いなくそうなるだろう。
嘘を吐かない『SEBAS』がそういうのだ、それは起きる事実を予め言っただけだ。
「じゃあ、そういう設定にしておいてくれ。そして、そのまま始めよう」
《畏まりました》
──そして俺は、休人の中でもっとも早く頂へ手を伸ばす。
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