虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
迷宮イベント その19
The・閏年!
そんなこんなで連続更新です(01/12)
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結局、俺たちはすぐに三層へ向かった。
……正確には、そうせざるを得なかった理由があるわけだが。
「まさか、殲滅したら疎まれるとはな」
「なかなか無い経験であった。『騎士王』である私にあのような視線を向けるとは……間違いない、彼らはきっと出世する!」
「たぶん、お前の正体が分かったら全力で土下座すると思うからな。知らないからこそ、できることもあるわけだし」
そう、魔物を狩りすぎたのだ。
迷宮は共有のスペースのため、狩ればその分魔物は減っていく。
まず、俺という弱者を狙って大量の魔物が集まり……それを『騎士王』が屠る。
図らずも釣りのような狩りとなった結果、周りから疎まれることになったわけだ。
そして、三層になる。
ここの魔物は強く、そして知恵があるためすぐには俺たちの下へ現れない。
なのでこうして会話ができる程度には、まだ余裕が保てている……もちろん、いつまで持つか分からないけれど。
「しかし、『生者』の体質はイカサマであろうな。弱者を装い、強者たちを屠る牙を隠し続けるとは……恐ろしいものだ」
「そういうもんでもないからな。装うつもりも、隠している気もない。それよりもほら、さっさと倒すぞ」
「うむ、分かっている」
これまでもそれなりにデカい魔物を倒してきたが、三層は異次元のレベルを誇るとウワサがあり……そしてそれは正しかった。
百本の腕を生やした巨人、広大な大樹、二層で見たモノよりも壮大なドラゴン……神話とかに出てきそうなレベルの魔物たち。
おそらく、突破させる気はないだろうというレベルである。
「そりゃあ倒せないわけだよな。『騎士王』はあのサイズの魔物、見たことあるか?」
「無いな。そもそもあの大きさは、神々により自然発生ではありえぬ埒外の存在として用意されたのだろう」
「……この祭り限定の魔物ってことか?」
「仮定ではあるがな。すべての民がここに集い、挑むことを望まれたのだろう」
たしかにそれだけ力を合わせれば、そうなるのかもしれないな。
だが、ここには二人しかいない……本来であれば、攻略などできるはずがない。
しかしながら、俺たちは『超越者』であり片方は最強の『騎士王』だ。
「行けるか、『騎士王』」
「ああ、問題ない。むしろ、どれだけやりあえるかそれが不安だ。『生者』はどうだ?」
「……嗚呼、逝けるだろうな」
「違和感はあるが、それこそが『生者』であろうな。では行くぞ、誰も見たことのない最深部へ!」
なんてノリに付いていけたのは、これまで見たことのない超弩級の魔物たちと出会い、それを踏破後に呼びだせることを期待していたからだろう。
実際、だいぶ興奮していた。
隣に『騎士王』が居る時点で、ほぼ不可能なことなど存在しないからだ。
「まずはあの巨人だ!」
「こうなったら、どうとでもなれぇえ!」
──そして、いろいろと後悔する。
そんなこんなで連続更新です(01/12)
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結局、俺たちはすぐに三層へ向かった。
……正確には、そうせざるを得なかった理由があるわけだが。
「まさか、殲滅したら疎まれるとはな」
「なかなか無い経験であった。『騎士王』である私にあのような視線を向けるとは……間違いない、彼らはきっと出世する!」
「たぶん、お前の正体が分かったら全力で土下座すると思うからな。知らないからこそ、できることもあるわけだし」
そう、魔物を狩りすぎたのだ。
迷宮は共有のスペースのため、狩ればその分魔物は減っていく。
まず、俺という弱者を狙って大量の魔物が集まり……それを『騎士王』が屠る。
図らずも釣りのような狩りとなった結果、周りから疎まれることになったわけだ。
そして、三層になる。
ここの魔物は強く、そして知恵があるためすぐには俺たちの下へ現れない。
なのでこうして会話ができる程度には、まだ余裕が保てている……もちろん、いつまで持つか分からないけれど。
「しかし、『生者』の体質はイカサマであろうな。弱者を装い、強者たちを屠る牙を隠し続けるとは……恐ろしいものだ」
「そういうもんでもないからな。装うつもりも、隠している気もない。それよりもほら、さっさと倒すぞ」
「うむ、分かっている」
これまでもそれなりにデカい魔物を倒してきたが、三層は異次元のレベルを誇るとウワサがあり……そしてそれは正しかった。
百本の腕を生やした巨人、広大な大樹、二層で見たモノよりも壮大なドラゴン……神話とかに出てきそうなレベルの魔物たち。
おそらく、突破させる気はないだろうというレベルである。
「そりゃあ倒せないわけだよな。『騎士王』はあのサイズの魔物、見たことあるか?」
「無いな。そもそもあの大きさは、神々により自然発生ではありえぬ埒外の存在として用意されたのだろう」
「……この祭り限定の魔物ってことか?」
「仮定ではあるがな。すべての民がここに集い、挑むことを望まれたのだろう」
たしかにそれだけ力を合わせれば、そうなるのかもしれないな。
だが、ここには二人しかいない……本来であれば、攻略などできるはずがない。
しかしながら、俺たちは『超越者』であり片方は最強の『騎士王』だ。
「行けるか、『騎士王』」
「ああ、問題ない。むしろ、どれだけやりあえるかそれが不安だ。『生者』はどうだ?」
「……嗚呼、逝けるだろうな」
「違和感はあるが、それこそが『生者』であろうな。では行くぞ、誰も見たことのない最深部へ!」
なんてノリに付いていけたのは、これまで見たことのない超弩級の魔物たちと出会い、それを踏破後に呼びだせることを期待していたからだろう。
実際、だいぶ興奮していた。
隣に『騎士王』が居る時点で、ほぼ不可能なことなど存在しないからだ。
「まずはあの巨人だ!」
「こうなったら、どうとでもなれぇえ!」
──そして、いろいろと後悔する。
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