虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
迷宮イベント その11
《──傭兵ギルドがございます。冒険ギルド及び迷宮ギルドと繋がっており、一時的に登録者の中から依頼者にもっとも合った方を紹介します》
「ふむふむ、そこに行けば俺もパーティーを結成できるわけか」
《当イベントにおいて、傭兵ギルドは一時的に仮登録を認めました。そのため、休人やこの世界の者に問わずさまざまな者を味方に引き入れることが可能です》
「……誰でも、というわけか」
イベントに参加できない、そう言って悔しそうにしていた『騎士王』を思いだす。
たぶん、初日以降は思う存分参加するんだろうな……と察してしまった。
傭兵のシステムはまだ完全には分からないが、自分から迷宮を探索するのではなく補助するのであれば、面目も立ってしまう。
「どうにか目立つ奴ら以外で、雇えそうなヤツがいればいいんだが……目利きの方は、任せてもいいか?」
《畏まりました。旦那様が申すのであれば、微力ながら旦那様に相応しきメンバーを集めて見せましょう》
「……いやまあ、俺にピッタリって言われると全然強くない感じがするけどな」
目の前には、ちょうど目的地。
こちらの世界の言葉で『傭兵ギルド』と書かれた文字が、休人の[メニュー]機能により日本語として表示されている。
この中で、俺は仲間を見つけるのか。
金の切れ目が縁の切れ目という言葉もあるが、このEHO内においてそれが切れることはたぶんありえないだろう。
──金銭にカンストという概念があれば、俺は間違いなくそれを果たしているからな。
◆ □ ◆ □ ◆
「……嗚呼、ダメだなこりゃ」
《申し訳ありません、旦那様。こればかりはどうしようもなく……》
「いいんだ、別に。仕方がないんだ、これは『SEBAS』でも抗えない」
珍しく、『SEBAS』でも解決することのできない問題に遭遇してしまう。
とあるアホな王様によって、紹介される人物に偏りが生じてしまっていたのだ。
「『騎士A』、『騎士B』、『騎士C』……ずっと続いて最後には『賢者』と『騎士王』になると。最後、ちゃんと隠せよな」
完全に身内ばかり載っていた。
いや、ここは仕様である……知り合った人物だからこそ、俺に紹介される傭兵としてリストインしているのだ。
「まさか、普通に紹介されるはずの傭兵を選べないとは……レベル差も規準なんだな」
そう、魔道具によって最適な人物を選びだす仕組みなのだが……俺の場合、特別縁者枠という関係者が必ず入る部分を除き、そのすべてが空っぽだったのだ。
なので必然的に、選ぶ者も関係者だけ……あとはほら、【魔王】とかだしな-。
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