虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
精辰星意
かき氷……というか甘味でできた契約。
それによって得られる妖精関連のアイテムは、それなりに使えた。
もともと隠れ里にも妖精が居たのだが、彼らは言わば逸れ者。
知識などは有っても、用意できない物がいくつかあった。
だが『白氷』は彼らが向かうことのできない場所──妖精界に行くことができるので、そこから好きなだけお土産を持って帰ることができる。
……いろいろとアウトらしいが、それでも『騎士王』曰く力のゴリ押しで突破するため妖精界側が諦めたんだとか。
「さて、そんな妖精界産のアイテムの増産にも成功したし、そろそろ別のことをやるとしよう……職業の追加とか」
大量の死徒(レベル250の殺戮兵器)を狩り続けた結果、これまでいっさい手を付けずにいた生産職が上級職まですべてカンストしてしまうという事態に陥った
複合職という、いくつかの職業の能力が内包された職業も正規の手段で発現したが……最初から載っていたため、それらもまたカンストしてしまう。
《旦那様、その前に一つご報告があります》
「ん? まさかイイ職業をすでに見繕ってあるとかそういうことか?」
《それもございますが、今はそれではございません。【救星者】に、新たな能力が発現しました》
「……マジでか」
もう見繕ってあるんだ、というツッコミを忘れてしまうほどに衝撃的な報告。
えっ、チート職業ってまだ別の能力を隠し持っていたのかよ、というサプライズ。
「心の準備が……スーハー、スーハー。これでいいか、詳細を言ってくれ」
《畏まりました。【救星者】に発現した新たな能力は“精辰星意”。内容はアイプスル、またはアイプスルの支配領域内において発動する──敵対者の弱体化です》
「……弱体化ねぇ。どれくらいまで調整できるんだ?」
《対象の抵抗にもよりますが、旦那様の種族レベルと対象との差に合わせて一定割合の低下が起きます》
すでに900を超えてしまっている俺のレベル、それを超えられる存在を俺はまだ初代『騎士王』しか知らない。
つまり現状において、ほぼ確実に相手を弱らせるスキルとして完成しているわけだ。
デバフ系で良かった、もしバフ系だったとしても俺の能力値じゃ使い物にならない。
《また、“職業系統樹”が強化されました》
「強化? そりゃあいったい……」
《これまでは就いている職業の能力を発現することしかできませんでした。しかし以降はカンストした職業より一つ、スキルを選択し使うことが可能です》
「へぇ、そりゃあ便利だな。一度生産職のスキルも見てから考えてみるか」
暇潰しにもってこいだな。
どうせならこう、経験値補正とか隠しパロメーターに作用するとかそういう便利なスキルでも探してみよう。
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