虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―
五州戦争 その07
サラマ岳
現地の人に名前を訊いた山道を通り、目的地である東五州を目指す。
当然、『SEBAS』が推測したように危険な道であるがな。
「うーん、魔物がうじゃうじゃいるな」
地球の山に居そうな動物が魔物化したヤツや、ファンタジー種族の魔物など……山の深い部分を通っているからか、かなり豊富な種類の魔物に襲われている。
「こういうとこにも、聖獣……というか森獣は居るのかな?」
《すべての自然領域に守護者が居るわけではありません。ですので、秩序立っていないこの区画には居ないのでしょう》
「最初の森で、俺は襲われた気もするが……小蜘蛛が守護する場所では、たしかに戦闘も行われないからな」
まあ、あそこの場合は過去の契約が今でも続いている結果ではあったが。
逆に風兎の守護していた場所は、そういう情報も無かったのでやらかしてしまった。
「ただまあ、どれだけ集まろうとある意味全部俺の糧になるわけだが」
魔物たちにも本能があるので、すぐに通る相手が虚弱な雑魚だと認識する。
そのため彼らの知覚下に入ると、凄まじい勢いでやってきて──俺を殺していく。
しかし、そこは毎度お馴染みの『生者』。
殺されるたびに内包された『死天』の能力でアイテムを生成しながら、俺の肉体を何度でも再構築していく。
「……たまに思うが、俺が死んだときの経験値ってどういう風に散らばっているんだ? 前にエルフの隠れ里に泊まらせてもらっていた頃、だいぶ撒き散らしていたけど」
結果的に、子供たちのレベルが急激に成長したと喜ばれたっけ?
当時は彼らの体に悪影響が無いか必死に調べたが……そういえば、何もなかったな。
《ご安心ください。旦那様の持つ経験値は、『生者』に内包された『死配者』隠し効果によって絞ることが可能です。すでに私が制御し、必要な時以外は最低限の放出で防いでおります。エルフなどがその類いです》
「まあ……お世話になっていた分の駄賃を払うと思えば、それでも問題なかったか。どうせレベルが上がっても、当時はそこまで必要性を感じてなかったし」
今は初代『騎士王』が至ったとされる、レベル999を目指してみたいと思っている。
しかし、あの頃は魔力と器用さしか気にしてなかったし……どうでもよかったのだ。
「──つまり、今は魔物たちが俺を殺しても全然経験値が漏れてないってことか?」
《はい。結界で経験値の流出を防ぐことにより、いっさいの放出を絶っております》
「……ゼロかよ。まあ、雑魚相手だと経験値が貰えないシステムだと思って我慢してもらおうか」
無限PKとかやられても、相手は得しないということだ……物凄いハズレだな。
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