虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
兌地方
N15E24
前回活動を終えた【刀王】の領地を抜け、さらに西へ向かってみた。
日本で言うところの山陰辺りだろうか? そこで俺はとある警告を受けている。
「こ、ここから先は神々の集う神域、な、何人たりとも近づけさせはせん!」
「神域、ですか……」
そうしてから、[マップ]で把握した地形と『SEBAS』が用意してくれた日本地図とを照らし合わせて──気づいた。
「ここは、出雲の国なのですね。そして、この先に在るのはその大社だと」
「くっ、なぜそれを知っている!」
「ええっと、はい、話せば長くなる事情がございまして……つかぬことをお伺いしたいのですが、参拝はどのように行えば?」
「……お前、参拝をしにきただけなのか? その怪しい物からして、てっきり妖術使いなのかと思ったが……」
俺は原付き(魔力運用版)でここ──地球以上のサイズの出雲大社を訪れただけなのだが、入り口を守る門番から見れば、怪しさがぷんぷん漂っていたのかもしれない。
ならば、と許可を取ったうえでそれを首脳してから、改めて交渉を行う。
「申し訳ありませんでした。私は央から目的もなく旅をしておりまして、あまりこちらの決まりを理解しておりませんでした」
「なに、央からだと……して、あの奇天烈な物はいったいなんだ?」
「異国から伝わった、『バイク』という物です。ご自身の魔力を消耗しますが、馬よりも速く駆けることができますよ」
「そ、それは……なんとも」
そんな会話をしていると、自身の使命を思いだしたのか──ゴホンと咳を一度して、こちらを問いただそうとしてくる。
「そうか、何も知らぬのか……ここは何人たりとも通すことを許される地、どうしても通りたいのであれば時期を改めよ」
「時期、ですか……それはもしや、神有月のことでしょうか?」
「それは分かっているのか。うむ、その通りだ。それまで我々は、ここに誰も通すことを許されてないのでな」
普通、神が集まれば通してはいけないと思うのだが……もしかしたら、逆になっているのかもしれないな。
いや、常に神があの神社の中に存在し、神有月だけは人が入ることを許されていると。
「分かりました。では、また改めて訪れることにしましょう……差し支えなければお尋ねしたいのですが、神有月でないのであれば、人々はどこに参拝へ向かうのでしょうか?」
「ああ、それならば──」
見張りは俺の質問に答え、参拝場所を教えてくれた。
そのことに礼を言って、少し遠くに向かってから原付きを取りだし、再び飛ばす。
──参拝すれば、加護って貰えるのかな?
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