虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
神様談(14)
真っ新な、人には知覚できない空の世界。
そのどこかで、今日も今日とて一人の青年の活動を眺める神たちが……。
「第一回! ツクル君が全然【救星者】っぽいことをしてくれない問題についてー!」
「……はぁ」
「おっと、いきなりそんな冷たい目を向けられるなんて思ってもいなかったよ。もしかして◆◆◆◆って、いつも僕のことをそんな風に見ていたのかな?」
「そんなことは……まあ、ありますけど」
少し躊躇うように否定を……すると見せかけて、肯定するという◆◆◆◆のやり方。
それを受けた■■■──創造神はガーンと背後に出そうな雰囲気を漂わせて落ち込む。
「そ、そうだよね……僕っていっつもいっつも、空回りばっかりだし」
「はい、その通りですが?」
「…………そ、それになんでもかんでも君に任せてばっかりだし、疲れていたんだね? 僕がダメなばかりに」
「……ダメなんかじゃありませんよ」
◆◆◆◆のその言葉に、パーッと顔を明るくする■■■──
「ダメという一言で纏めてはいけないほど、■■■様はズレています。そもそも、ツクルさんはあの世界について無知、それなのに私たちがあれこれと行動に干渉することがいけないのです」
「…………あ、あれ? こ、こういうときって、慰めてくれるんじゃあ……なーんて」
「■■■様──ご自身の立場をよく考えてみてください」
「うわーーーん!」
今度はボロボロと涙が零れる演出が、■■■の背後に流れる。
◆◆◆◆はそういった演出が行われている限り、絶対に優しくしないと決めていた。
なぜならそれらはすべて、■■■が望んだからこそ発生している現象だからだ。
創造する理を扱う■■■だからこそ、そのようなことができる。
「……ぐすんっ、もういい。◆◆◆◆、早く本題に進めるよ」
「畏まりました……現状、ツクルさんが偽装能力──“職業系統樹”以外を使用することは無いと思われます。あの世界に悪意が訪れない以上、必要とされないからです」
「そ、それは……そうだけど……」
本来、【救星者】とは星を救う使命を与えられた者が就く職業。
しかしツクルは実績があるものの、その方法も特殊であるため使命とは感じていない。
そして、それらはすべて■■■が仕組んだこと……これまですべてを観ていた◆◆◆◆には、そう考えられた。
「しばらくは傍観いたしましょう。ありのままのツクルさんが、いったいどういった方なのか……それを再確認することで、次に成すべきことを定めるのです」
「な、なるほど……◆◆◆◆って、よくツクル君のことを考えているんだね」
ほへー、と感心する■■■。
かくして、ツクルに一時の平穏が訪れることが決まったのだった。
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