虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
ギルド問題 その04
場所を変えさせてください、といって在ることをドローンで確認していた武具の試験を行うことができる庭っぽい場所に向かう。
目的は出す物が危険かもしれないから、ということでもなく……ただ単に時間を稼いでいるからだ。
「……どうしようか、『SEBAS』。そもそも自分で打った武具って、刀鍛冶以降の発想で打ったヤツしか無い気がするぞ」
《旦那様はその時点で人族の限界を超えたレベルに達しておりますし、器用さもそれなりにございました。質は悪くないかと》
「普通の奴はどうせ職業の補正とかでもっと強いんだけどさ、まあ刀をそのまんま出すのは止めておこうか……って考えると、どうにも難しくてな」
聖剣とかを出すのもアウトだし、そもそもそういうのは:DIY:使用時に打っている。
相手が鍛冶師なのだから、せめて炉を使って作る物が好ましい。
……まあ、とりあえず訊いてみるか。
「すみません、少し訊ねたいのですが……いくつか見せたい物があって悩んでいるのですが、具体的にどういった物が見たいといったご要望はあるでしょうか?」
「ぁん? ならそうだなぁ、自分が打った中で最大の一振り、ってヤツを出してもらおうじゃねぇか」
「…………本当に、それでよろしいのでしょうか?」
「男に二言はねぇよ。ほら、着いたぞ。さっさとそれを見せろ」
目的地に辿り着くと、鍛冶師はそれを要求してくる。
まあ、仕事の途中で抜け出してきたのだから、さっさと終わらせたいのだろう。
取りだすなら魔道具でもあれば一発だし、逃れることはできない。
ハァとため息を吐き、[インベントリ]を操作してソレを取りだす。
「……なんだよ、それ」
「これが私の打ち上げた最大の一振り──その銘を『星砕き』というものです」
この場に現れたのは、超強大なハンマー。
ただし大人を縦に二、三人積んでも届かないような、尋常ではない大きさの物。
「最大……最大ってそういう意味じゃねぇに決まってるだろうが! というか、そんな物いったいどうやって振るんだ!」
「どう、と申されましても……このように、ですけれど」
結界に反重力の力を与え、『SEBAS』が制御することで絶妙な形で振るえる。
これを造ったのはなんでだっけ? どれだけ一度の生産で使えるのか、補正効果だけを抜いて:DIY:を起動して試したときか?
「……っは、はははははっ!」
「気に入っていただけたようですね」
「ああ、面白ぇなぁ。その(膂)力があるなら殴り込んでも良かったんじゃねぇか?」
「私の(能)力は、生産のためのものです。決して暴力のためには使いません」
これで一人目、交渉終了だな。
まだたくさんいるというのに……ここからは飛ばしていこうか?
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