虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武

ギルド問題 その03

あけましておめでとうございます
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「そりゃあいってぇ、どういうことだ?」

「たしかにいい武具です。ですが、それだけのこと。鑑定などでは分からない、職人の端くれとしての勘が告げているのですよ……まだその先があると」

「……ふぅん、少しはやるみてぇだな」

「知り合いの職人たちと、研鑽を重ねておりましたので」

 いつも:DIY:で作られる武具は、望まない限り最高品質だからな。
 ある意味目が肥えていて、自然と審美できるようになっている。

「たしかに普通の武具としては、これらは最高品質なんでしょう。ただ、それ以上の物が何もない……本当ならば、作れるのではないですか──魔具を」

 魔具とは、魔剣などの特殊な能力を宿した武具の総称のことだ。
 一流の鍛冶師が激レアな素材をふんだんに使うことで、それらは生み出される。

「……何を言ってるんだ?」

「私も鍛冶は嗜んでおりますので、分かりますよ。それに、相当鍛えられておられるようですね。ただのスキル頼りの鍛冶では、作れたとしても低級の魔具のみ。己の力だけで鍛冶を行う力……それをあなたから感じます」

「……隠しきれねぇか。ああそうだ、だがそれがなんだってんだ? 俺がそう認めたとして、いったい何があるってんだ」

 まあ、たしかにそうだ。
 別に武具が買いたいわけでないし、見せてもらいたいぐらいだな……あっ、見せてもらいたいな。

「勝負をして、私が勝ったなら再び生産ギルドに顔を出していただきたいのです。先代のギルド長と、今のギルド長は違う……それだけは理解していただきたい」

「勝負ってのは……なんだ?」

「私がこれから見せる武具、それに価値があるのならば考えを改め直してもらいたい」

「勝負、勝負ね…………俺がそれをやる理由がなんにもねぇんだが?」

 ごもっともで。
 だが、そんなことを言われることも最初から想定済みである。

「こちらの書状に、受けていただいた際のメリットを記してあります。ギルド長と正式に話し合ったものなので……どうぞ、こちらをお読みください」

「へぇ……なんだって? 権限の放棄、生産ギルドのこの国での解体宣言だって? まあなんとも面白いことを考えているみたいじゃねぇか」

「問題ありませんよ。私が勝てば、すべてが解決するのですから」

「はっ、面白ぇ。やれるもんならやってみろや……さっ、見せてみろ」

 もちろん:DIY:さえ使えば、絶対に賭けに勝つことができるだろう。
 だがそれはあくまで奥の手、どうせなら俺の力だけで乗り越えておきたい。

 ──というわけで、自力で打ち上げたアイテムを見せようじゃないか。


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