虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
ギルド問題 その02
連続更新中です(12/12)
……よいお年を
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ヴァイアの王都にも優れた職人が居る。
生産ギルドに現在ストライキを起こしている彼らだが、ギルドが困るほどに成績などを出している腕利きなのだ。
彼らは生産の系統ごとにギルドとは異なる長を推戴し、ギルドを介さずに生計を立てているらしい。
冒険者は困らず、国も困らず、困っているのは生産ギルドだけ……そのため、今なお問題が解決されずにいたわけだ。
「まずは、鍛冶師の場所へ向かおうか。一番話が分かる気がする」
超一流の鍛冶師であるドワーフの隠れ里の長と交友を持ち、技術を共有している……これだけでも、価値はあると自負している。
「まあ、情報を持っているだけじゃ追いだされること間違いなし。ならどうするか……やるだけやってみるしかないんだけどさ」
訪れた鍛冶屋は、特段壮大な広さというわけではない。
近隣の建物と同じぐらいの高さで、鍛冶用なのか煙突が延びているだけ。
外からでも響いてくる金属を叩く音。
うん、魔力の籠もっている物質を叩いているのか、結界を張っていなかったら死んでいたという警告がログに載っていた。
……そういう機能、付けてみたんだよ。
「あのー、すみませーん」
カーン カーン カーン カーン
「あのー、すみませーん!」
カーン カーン カーン カーン
入口には誰も居らず、奥の方で聞こえてきた鍛冶の作業音は鳴っているようだ。
しかしまあ、誰も居ないとはずいぶんと不用心だな……商品とかも並んでいるし。
「ん? へー、ずいぶんといい味が出ているみたいだなー。けど、質が悪いな……」
「──ぁん、誰だテメェ」
「……っと、この店の主でしょうか? 私はツクル、生産ギルドの特級会員です」
「! 生産ギルドの狗か……」
男は普人のおじさんで、筋骨隆々と言う言葉がピッタリな職人だった。
上半身は服を着ておらず、鍛冶をしていたため汗はダラダラの状態。
だが疲労感などは感じさせず……鋭い眼光で、俺を文字通り射抜いている。
狗、とはずいぶんな言われようだ、そこまで嫌われているのかね。
「この街には来たばかりでして、貴方がたの事情もあちら側から聞き及んだことのみでして。正直、どちらの主張が正しいかも理解できていません」
「……ならさっさと帰りな。この街なんかよりも、迷宮のある城塞にでも」
「いえ、あちらにはすでに。こういった品は手に入りましたが、他には得られる物が無くてですね……ああ、一つ質問してもよろしいでしょうか?」
「そいつは流動液体金属か。珍しい物を持っているじゃねぇか。それで、訊きてぇことってのはなんだ?」
一瞬だけ、目を輝かせた鍛冶師は追いだすことを止めてくれたようだ。
なのでもう少しいられるように、質問をしてみる。
「──本来の貴方が打つ武器とは、いったいどのような物なんでしょうか?」
……よいお年を
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ヴァイアの王都にも優れた職人が居る。
生産ギルドに現在ストライキを起こしている彼らだが、ギルドが困るほどに成績などを出している腕利きなのだ。
彼らは生産の系統ごとにギルドとは異なる長を推戴し、ギルドを介さずに生計を立てているらしい。
冒険者は困らず、国も困らず、困っているのは生産ギルドだけ……そのため、今なお問題が解決されずにいたわけだ。
「まずは、鍛冶師の場所へ向かおうか。一番話が分かる気がする」
超一流の鍛冶師であるドワーフの隠れ里の長と交友を持ち、技術を共有している……これだけでも、価値はあると自負している。
「まあ、情報を持っているだけじゃ追いだされること間違いなし。ならどうするか……やるだけやってみるしかないんだけどさ」
訪れた鍛冶屋は、特段壮大な広さというわけではない。
近隣の建物と同じぐらいの高さで、鍛冶用なのか煙突が延びているだけ。
外からでも響いてくる金属を叩く音。
うん、魔力の籠もっている物質を叩いているのか、結界を張っていなかったら死んでいたという警告がログに載っていた。
……そういう機能、付けてみたんだよ。
「あのー、すみませーん」
カーン カーン カーン カーン
「あのー、すみませーん!」
カーン カーン カーン カーン
入口には誰も居らず、奥の方で聞こえてきた鍛冶の作業音は鳴っているようだ。
しかしまあ、誰も居ないとはずいぶんと不用心だな……商品とかも並んでいるし。
「ん? へー、ずいぶんといい味が出ているみたいだなー。けど、質が悪いな……」
「──ぁん、誰だテメェ」
「……っと、この店の主でしょうか? 私はツクル、生産ギルドの特級会員です」
「! 生産ギルドの狗か……」
男は普人のおじさんで、筋骨隆々と言う言葉がピッタリな職人だった。
上半身は服を着ておらず、鍛冶をしていたため汗はダラダラの状態。
だが疲労感などは感じさせず……鋭い眼光で、俺を文字通り射抜いている。
狗、とはずいぶんな言われようだ、そこまで嫌われているのかね。
「この街には来たばかりでして、貴方がたの事情もあちら側から聞き及んだことのみでして。正直、どちらの主張が正しいかも理解できていません」
「……ならさっさと帰りな。この街なんかよりも、迷宮のある城塞にでも」
「いえ、あちらにはすでに。こういった品は手に入りましたが、他には得られる物が無くてですね……ああ、一つ質問してもよろしいでしょうか?」
「そいつは流動液体金属か。珍しい物を持っているじゃねぇか。それで、訊きてぇことってのはなんだ?」
一瞬だけ、目を輝かせた鍛冶師は追いだすことを止めてくれたようだ。
なのでもう少しいられるように、質問をしてみる。
「──本来の貴方が打つ武器とは、いったいどのような物なんでしょうか?」
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