虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

隷属職業 前篇

連続更新中です(05/12)
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 暗躍街

 当然ながら、【騎士】以外は【聖騎士】以外の戦闘職をまだ手に入れていないので、そのまま【聖騎士】に就くことになった。

「けど、今回は別のこともやらないとな」

 職業を増やすためには、条件を満たさなければならない。
 そしてそれは、強引の方法であっても一度満たせば解放される。

 すべての【見習い○○】を解放できるかもしれないアイテムは用意できず、このままでは生産職しか就くモノがなくなってしまうので……新たな職業を増やすことにした。

「──というわけで、やってきました」

 嗚呼、見れば輝くネオン街。
 そして、そんな街中に立つ雑居ビル。

「まずは連絡をするか……有ってよかった連絡用のシステム──ポチっとな」

 連絡モードにした状態で、まずはノックをして呼び掛ける。
 前回もやった方法なので、問題はないはずだ…………うん、たぶん。

『……おおっ、また『生者』か。いったいどうしたのじゃ?』

「今回は……その、大丈夫ですか?」

『うむ。ちょうど百人相手に大往生、その余韻に耽っていたところじゃ』

 ああ、うん……耳を澄ませば聞こえてくるよ、官能的な少女の吐息。
 どうにも運が悪いというか、ある意味運がいいというか……妻帯者的にはアウトだが。

 まったく、相変わらず【奴隷王】は……。

「実は、職業に関する相談がありまして……一度、そちらへ向かってもよろしいでしょうか? 直接会わなければ、おそらく解決できないことですので」

『少し待てるか? 女子たちを一度、移動させねばならぬのでな』

「ええ、分かりました。では、完了後にご連絡していただけますか?」

『うむ、相分かった』

 連絡が切れたので、辺りを回って時間を潰していく。
 人数が多いため、数十分が経過すると魔道具に光が灯った。

 ──さて、レッツ転移!

  ◆   □   ◆   □   ◆

 ヤの付く強面な方々を見事にスルーして、目的地の扉の前に立っていた。
 改めてそこをノックし、内側から返事が聞こえたら中に入る。

「うむ、よく来たのじゃ『生者』よ。それで用とはいったい……どんなことじゃ?」

「実はですね……私に【奴隷】化と【虜囚】化を施してほしくて来ました」

「……本気か?」

「本気です。そうでもなければ、わざわざこちらへは来ませんよ……ああ、これはお土産です。よければどうぞ」

 梱包した箱をスッと【奴隷王】に渡す。
 中身は前回とは違うベクトルで、喜ばれそうなアイテムで買収だ。

 ……これでどうにかなれば、いいんだが。


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