虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

生者の遊歩道

自称偽善者と同じ感じです
月末の十二話更新(01/12)
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 俺の生産系職業はすべて解放されている。
 しかし『闘仙』が言っていたように、あくまで生産のみに特化した職業だけで、それ以外の要素が入っている職業には就けない。

 仙丹はスキルとして存在し、その使用度合いが職業の条件に含まれている。
 俺は仙丹は使えてもスキルは持っていないため、【煉丹術師】などには就けないのだ。

「まあ戦闘をしないから、全然【騎士】のレベルが上がらない現状ではまだまだ先の話だけど。というか俺って、戦闘とそれ以外を行うときに差が出すぎじゃないか?」

《旦那様は一度戦闘を行う場合、軍勢を相手取りますからね。対人戦闘でも経験値は貰えますが、そちらも強者ばかり。【騎士】のレベルはすぐに最大に至ることでしょう》

 そうじゃない場合もあるが、たしかにそんな経験ばっかりだな。
 ……もっともなことを言えば、俺は虚弱なのであらゆる存在が格上なんだけどさ。

「普通のレベルを相手にして、【騎士】のレベルを上げたいな。『SEBAS』、良い場所はあるか?」

《迷宮を使用するのはどうでしょうか? 住民用の迷宮の内部に、旦那様専用の訓練場を設営致します》

「……外でやっても問題が起きるだけか。そうだな、すぐに始めてくれ」

《畏まりました。では、新階層を用意しますので──五分ほどお待ちください》

 迷宮って、五分でできるんだっけ?
 そんなことを思うが、『SEBAS』だからという理由が浮かんだので忘れておく。

 ──細かいことを気にしたら負け、それは身近な者たちでよく理解しているからな。

  ◆   □   ◆   □   ◆

 進魔の修練場 派生 生者の遊歩道

 素晴らしき『SEBAS』のセンスなんだろうか、派生迷宮の名前を[マップ]機能で確認したらそう書いてあった。

 中には一本道と一定距離ごとに戦闘用の部屋が用意されており……四天王との戦闘みたいに、繰り返し戦っていく構造なんだとか。

「入り口で出てくる魔物を選べると……少しタイム──『SEBAS』!」

《どうなされましたか?》

「……魔物の選択欄に大鬼帝オーガエンペラーがあるのはまだ分かる。けど、なんで仮想戦闘というリストの中に知っている名前があるんだ?」

 対人戦闘用のリストで、『超越者』の名や【王】を冠する者たちの名が記されている。
 まあ情報自体は知る機会が多かったので、できるできないで言えばできるだろうけど。

《彼らの力量を星脈のエネルギー供給により擬似的に再現し、旦那様と闘わせます。その方が、旦那様のためになるかと》

「……どういうことだ?」

《苦労もなく得られる力より、経験を得たうえで成長することを望んでおられるようでしたので》

 ああ、そういうことだったか。
 俺としても、そういう方向性ならばたしかに受け入れるだろう。

 別に戦闘狂というわけでもないが、ルリたちに申し訳なくなるというか……うん、俺個人でやっているなら全然構わないんだが。

 ──けど、どこまで再現できているんだ?



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