虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
神造職業
「人々が神に願い、創ったのだ──同じ人種である同胞を従える職業を」
「……神なら職業のシステムに干渉できるってことか。へー、知らなかった」
「これの仕組みは悪いことだけではない。かつて『騎士王』もまた、試練を乗り越えた果てに願いを告げ、【円卓騎士】という新たな職業を生みだしたのだからな」
まあ、お前らの国でしか使わないであろう職業を、そんないちいち設定しているはずもないか。
「けど、そんな試練をやらなければできないことをわざわざやったのか? 普通に諦めるだろう」
「『騎士王』が行ったのは、正規の手段だ。今回の奴らはそうではなく、生贄と引き換えに邪神に願ったのだ……新たな職業をな」
「生贄って……」
「ああ、【生贄】も職業にあるぞ。これに高レベルで就いているモノを供物に捧げると、一部の神は喜んで願いを叶えるらしい」
ずいぶんと悪趣味な神様だな。
まあ、いま邪神って言っていたし、そういうヤツもいるのだろう。
「いっそのこと、『生者』も挑んでみてはどうだ? 神々の試練──神練に」
「……もう飽きるほどやったからもういい。だから続きを──ぐえっ!」
「…………初代しか行っていないのだぞ。それもたった一度、残りの『騎士王』は探し求めても届かぬ神練を、『生者』……!」
「ま、待ってくれって! 俺にはたぶん、事情があるんだよ! 前に訊いた話をそのまま言うから、とりあえず聞いてくれ!」
医療神様曰く、【救星者】のためにわざわざ神練を用意してやらせていたらしい。
前にやった獣の神様のヤツも、同様の理由なのだろう。
「……つまりなんだ、もともと選ぶ余地が無かったから問題ないと」
「そうだよ。だからその手を放ぜぶ──!」
「……まあいい。私も大人だ、子供のように癇癪をするのも大人げなかろう」
「く、首を絞めた奴がなんて言い草だ」
げほげほと咳き込みながら、解放されたことでようやく吸えるようになった空気を一気に取り込み……死ぬ。
うん、リセットして綺麗さっぱりだ。
「【奴隷】や【虜囚】は、つまり人々が望んだ結果生まれた職業ってことか。それって結局、どうやって就くんだ?」
「首輪を嵌めた奴隷たちを、強引に転職の間へ連れていき行わせていたな。それか、多少時間は掛かるが儀式魔法によって強制的に職業を書き換えていたらしい」
「俺はリストに載っていないから、後者でやるしかないんだが……『騎士王』、それってお前でもできないか?」
「可能かどうかで言えば、可能だが……私がやらずとも、他にも手段があるからそっちをやった方が速い」
その方法を訊き、俺は顔を顰める。
……うん、職業はまだ【高位鑑定士】でいいし、【騎士】や【聖騎士】がカンストしてから考えることにしよう。
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