虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
鑑定レベリング
人に見せられる職業に就いたので、これで俺もステータス欄の偽装を一部変更できるようになった。
しかし、今のままではレベル1のまま……新人レベルである。
「なお、前に言っていた星脈を使ったレベル上げはできない。あれは種族レベルを上げるもので、職業のレベルはそれに対応した方法で上げなければならないからだ」
魔物を討伐する、などの方法であればギリギリ上げることができる……戦闘中、相手に鑑定をする行為もあるからな。
だが、星の力を吸い上げる云々に鑑定などいっさい関わっていない……というか、その方法ではどの職業も上げられない。
「と、いうわけでパパッとやろうか」
《旦那様の指示通り、計千個のアイテムを御持ち致しました》
「まだ視たことの無いモノを視たとき、職業専用の経験値が入る。そのアイテムのレア度に応じてその量は多く、全部視ればボーナスが入る。……ただし、ボーナスを入手したアイテムではもう経験値は入手できない」
《職業スキルである(鑑査瞳力)が鑑定成功率に補正を掛けるとはいえ、やはり初期状態でそれを完了させるのは困難。まずはレア度1のアイテムから順に行っていきましょう》
千個のアイテム……しかも超レアなアイテムばかりを鑑定すれば、さすがに一日でレベルをカンストさせられる。
魔力も最低燃費で使うのであれば1で充分なので、自然回復分も考えれば詳細をゆっくり見ていれば尽きることはないだろう。
「ここに、『SEBAS』が調べてくれた情報を同時に入れられるようにしたら……より多くの経験値が手に入らないかな?」
《経験値に変動は無いでしょう。あくまで、鑑定と私の情報は別のものです。しかし、同時に表示できるようにするのはとてもいいことです──すぐに実行しましょう》
ずっと前にそういった改良を受け、俺の鑑定スキルは相手の力量がなんとなく分かるようにしてあった。
今回その考えた通りの改良に成功すれば、相手の能力や弱点などを細かく把握できるようになる。
……まあ、どれだけ弱点を突いても負けるのが虚弱スペックな俺なんだけどな。
◆ □ ◆ □ ◆
「レベルは30でマックスか……次の解放はどうなっている?」
用意されたアイテムを鑑定し続けた。
その結果、どんどんレベルは上昇し……気づけばカンストしてしまう。
鑑定したアイテムのテキストを視ていたりするのは、意外と楽しかったんだけどな。
《【高位鑑定士】です。レベル上限は50、就職条件は一定数の鑑定による情報完全開示に加え、そして鑑定したアイテムのレア度の合計が5000を超えることのようです》
「可能ではある、だが途方もなく面倒臭い条件だったってことか」
高いレア度のアイテムを鑑定すれば、その分速く終わるだろう。
だが鑑定の難易度が高いため、それをするのも一筋縄ではいかない。
「まあ、いいか。とりあえず就いておこう。レベリングはまた今度で」
《畏まりました──“職業系統樹”を起動、職業を【高位鑑定士】に設定……成功しました。職業スキル(識者之瞳)を獲得、代わりに職業スキル(鑑査瞳力)が喪失しました》
「どうせなら、そのままが良かったな」
こればかりはどうしようもない。
惜しくはあるが、能力は上位互換のようなものなのでなくても構わないか。
……なんだか味気なく終わってしまった。
今度はゆっくりと、上げていくとしよう。
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