虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
神様談(13)
真っ白な世界、そこは人が足を踏み入れることを拒む神なる領域。
静粛に包まれた空間……のはずだったそこでは現在──神々の宴が行われていた。
「では、ツクル君の【救星者】就任を祝しまして──かんぱーい!」
『かんぱーい』
少年の姿をした神──創造神によって、宴の幕は開かれる。
神々の酒であるネクタルを注いだ杯を掲げると、皆でそれを酌み交わす。
「いやー長かった長かった。ツクル君の世界からすればまだまだだけれど、こっちはもう一年は経っているからね。神様だって、長く感じちゃうよ」
「……たしかにな。昔は時間などすぐに過ぎ去るモノだと感じていたが、ツクルを通して見る世界はとてもゆっくり感じられた」
「そういうものさ。これからは君の証明証と権能がリンクするんだ、もっと楽しめるようになるんじゃないかい?」
「…………そうだな。こればかりは、不服ながら受け入れよう」
なんでさ! とツッコむ創造神を無視する老人──いや、老神である死神はネクタルを飲み下していく。
「ねぇ、訊いてよ◆◆◆◆! みんなひどいよね、▲▲▲▲や●●●●だって僕のことをおざなりに扱うんだ!」
「…………はぁ」
「ねぇ、そのため息って何? 理由によっては僕も許さないけど……」
「ここに居る皆さま方より、発言の自由を頂きました。いくら■■■様とはいえど、御三方分の神格を合わせればどうにかなったようですよ」
◆◆◆◆は創造神の使徒であり、見習いの神である。
故に上司である創造神の言うことに、逆らうことはできなかった。
しかし、この場に居る三柱の神々が許可を与えることでその制限を解除される。
ある意味対等な関係として、物言いをできるようになった◆◆◆◆。
「え、えっと……こ、言葉は縛れなくなっても、行動は縛れるよね?」
「できるとお思いですか?」
「あ、あははは……お、お手柔らかに」
自分がこれまで、どれだけ無理強いをしてきたかを思いだす■■■。
笑って誤魔化そうとしているが、その笑みはかなり引き攣っている。
「……構いません。■■■様も、無理難題ではあるものの決して不可能な問題だけは与えてきませんでした。何より、ツクルさんのご要望も叶えておりましたし」
「◆◆◆◆……」
「たとえどれだけどうしようもない方であろうと、私にとっては上司です。言いたいことはありますが……それでも、支えようと思えるだけの方です」
「あれ、僕もしかして詰られてる!?」
それぐらいはしてもいいだろう。
そして、時は来たと◆◆◆◆もまたこの宴の目的に感謝する。
「お待ちしておりますよ、ツクルさん……」
職業【救星者】。
生きた英霊であり、星を守る守護者に与えられたその力。
それは一種の目印。
人の身で到達できる最高の頂──神へ至るための。
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