虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
霊体の問題 その14
「さぁさぁ、皆さま大変長らくお待たせしました。これより、デモンストレーションをお見せしましょう!」
パチンと指を鳴らすと、映像中継用に飛ばしていたドローンが再度起動する。
先ほど自分たちの上司が敗北する姿を見せられたので、映像がさぞかし怖いだろう。
「私が望むのは争いではありません。先ほど告げた通り、皆さまとの和解でございます。しかしながら、これには言葉だけでは伝わらないこともあります。故に、想いを伝えるため武を振るうのです!」
人形たちの配備は整った。
それぞれが描いた魔法陣の各所に立ち、これから始まる大魔法の発動用のバッテリーとして使われる。
「決して、私たちは争いを好んでいるわけではございません。あくまでも自衛、本来力とはこのように振るうためにございます。たとえばそう──平和を生むために!」
口で言うだけならなんとでも言える。
今必要とされているのは、実際にそれを証明することだ。
口先だけの話し合いでは詐欺師と同じ。
その度に行動で証明してきた──今回もそれを続けるだけ。
魔法陣は光り輝いた。
魔力によって起動したソレは、霊脈からさらなるエネルギーを回収してより多くの力を集めていく。
増幅されたエネルギーを使い、再び大地へそれを注ぎ込む。
ただしエネルギーに指向性を与え、書き換えを行っていく。
「ほんの僅かではありますが、この世界にも生命力が……星の力が残っています。私にできるのは、それを回復させることだけ。ですがそれでも、このようなことができます──咲き誇れ、満開の花よ!」
アイプスルで何度も実験した。
自然環境を書き換えるために、いったいどのような術式を構築すればよいのか。
俺の職業である【救■者】だが、その補助ができる能力らしい。
そして星を書き換えることは生みだすことと同意……みたいな暴論によって、:DIY:も同時に起動できる。
かつて『SEBAS』と話した、レムリアの古き姿……ガイドからすでに情報は集めたらしく、本当に花だらけだったということが発覚した。
故に俺は花を咲かせる。
もしかしたらその美しさに、過去を知る者は争いを止めてくれるかもしれないと期待を籠めて。
そして力を示した。
使用した魔力量、それを察知できないほど彼らはバカじゃない。
「ご覧になっていただけたでしょうか? この平和の象徴である花園は、きっと貴方がたの選択を祝福するでしょう。願わくば、誰一人苦しむことのない選択を……以上で、今回の交渉を終了いたします」
──そして、再び五分待つ。
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