虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
大森林 その07
「──以上がこれまでのことだ。しっかりと纏められていたか?」
《はい。余すことなく纏められていたかと》
サポートはしておらずとも、いつでも見守り続けている『SEBAS』。
ドローンが俺の周囲に飛び続ける限り、また首元の小型カメラが作動している限り……『SEBAS』は俺と共にある。
結界の調査も一段落。
今は侵略者に関する情報を集めてもらったうえで、入り口に配置されている種族識別結界の書き換えが可能かを検証している。
「侵略者は多様なんだが……そのすべてを同時に、逃がすことなくなんだが? けどこうでもしないと、たぶんまたどこかで増殖していそうなんだよな」
《魔物の核を喰らうことで、侵略者たちは増殖することを確認しております。また、人族の心臓でも同様です》
「魔物は分かるんだが……心臓って、魔物にも心臓はあるはずだよな?」
《正しくは、魔力が宿っている部分を喰らうことで増殖するからでございます。魔物は比重が核へ寄るため、そちらの方が多く増殖の糧となります。一方、人族には貯蔵器官が無いため、心臓が最たる物となります》
結局、高位の魔物であればその肉体すべてが大繁殖の引き金になってしまうらしい。
人族は血液や髪の毛、皮膚などにも魔力が集中するんだとか……髪の毛か、無意識的に強化でもしているんだろうか?
「浄化で倒せる理由は?」
《旦那様の浄化は神聖属性、つまり神の力を借り受けて行使する魔法です。侵略は相手の主権を奪うモノ……聖獣を侵略するために時間を掛けている侵略者たちにとって、その力は対応できないモノなのでしょう》
「……ってことは、そのうち対応されると」
《おそらくは。しかし、神を喰らうことがなければ問題ありません。聖獣の持つ聖気と神が宿す神気とではエネルギーの質量がまったくと言っていいほどに異なりますので》
普通の浄化は光属性のモノなのだが、俺のは『死天』謹製の品だからな。
ある意味神が関わったアイテムなので、それだけ異常な品となっていたのだろう。
「…………なんか、こんなパターン前にも邂逅したことがあるな」
《幽源世界でしょうか?》
「ああ、それそれ。同じ別の星だったから、似たような理が……そうだ、理か」
星が違うから、侵略者は自分たちの惑星の理不尽な法則を基に俺たちを襲う。
だが神は……同じく上位存在として君臨しているのであれば、等しく影響を受けるのかもしれない。
「『SEBAS』、道中で倒した魔物をもう一度調べておいてくれ。全部『死天』のアイテムだから同じ結果のはずだ」
《畏まりました》
これで結果が分かる……ただ、これでは殺す方法が分かっただけだ。
切除する方法、その理を暴かなければどうしようもない。
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