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虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

三つの選択肢



 ショウやマイとまったく会えない。

 二人は冒険者らしい活動をしているため、とても多忙な日々を送っている。
 いろんな場所に拠点があるため、なかなか見つけづらい。

 ルリとの密会(?)を終えた俺は、ふとそのようなことを思った。

「マイはソロだが、従魔たちとの契約条件とやらを満たさなければいけないみたいだし、それがトラブルになって強くなっていく……主人公みたいだな、本当に」

《重要度の高い存在が集まっております。そう認定される可能性も高いかもしれません》

「父として、それは応援していたいが……一人のプレイヤーとして判断するなら、とても羨ましいことだ」

 どれだけ取り繕っても、特殊なイベントとは羨ましいモノである。

 なんだかクエストに追われている、というマイの悩みもハイレベルすぎて俺には理解できない……全然クエストが受けられないし。

「自分から探すと言っても……なぁ?」

《『始まりの街』には『騎士王』が訪れるため、あまり大規模な捜索が不可能。他の街では、アニスト以外対処不可かと》

「獣人国アニスト、モフモフパラダイス」

《はい。旦那様のご家族は、よくそこを訪れておりますので。ショウ様のみは、あまり記録が残っておりませんが》

 ショウだけは他のパーティーメンバーが居るので、避けているのだろう。
 ルリは護衛も付けないであそこに入り浸ることがあるらしいが、そもそもルリは護衛がいなくても強いので問題ない。

 ──騎士が居るのは、ただの役割ロールだった。

「ただ、アニストもアニストでまた嫌な予感がするんだよな……具体的には、書類仕事の山とか」

《それでしたら、私めに考えがございますのでお任せください。旦那様には、どういった選択をされるのか、そのご決断だけお任せしとうございます》

「選択ねぇ……選択肢は?」

《1.アニストへ向かう
 2.始まりの街で待機する
 3.ドローンで機会を窺う──です》

 冒険の邪魔にはなりたくないので率先的に使用はしていないものの、家族の下には発信器付きのドローンが派遣されているため、すぐに居場所を暴くことができる。

 ただし、マイはどうにもドローンがいけない場所で従魔たちとの契約を履行しているみたいなので、そこまでは追えないのだ。

 誰でも行けるような場所なら向かえるが、さすがにドローンでは追いかけられない。

「2は『騎士王』が居るから論外の考え。3は……今もしているから、とりあえず継続して見守っていこう。残ったのは1……つまりアニストへ行くって選択だ」

《本当に行かれますか?》

「『SEBAS』が大丈夫だって言ってくれたし、俺も信じるよ」

 これまでも、そう言って俺を助けてくれた優秀なAI執事『SEBAS』。
 むしろこれからもよろしく頼む、そう伝えておいたよ。


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