虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
VSルリ騎士団 中篇
ちなみにだがルリ騎士団は、ルリが教祖なためか瑠璃色の鎧を身に着けている。
そんな輝かしい鎧を纏う者たちは現在、地の底へ墜ちようとしていた。
「■■■■……“風竜巻”!」
だが、団員の一人が素早く風魔法で足場を作り、その勢いを使って全員が戻ってくる。
詠唱か……魔法を魔法として使えない俺からすれば、とても羨ましいものだよ。
「初手からこのような技をお使いになるのですか……さすがは、教祖様のお眼鏡に適う者ということでしょう」
「それしかできなが故に、こうしているのかもしれませんよ──『天閃腕』」
先ほどのなんちゃって『地裂脚』と同様、大きく踏み込んだ衝撃を取り込み腕へ流し込み、それを斬撃として放つ。
「“死賭の陣”!」
『ハッ!』
騎士長の声に合わせ、騎士たちは隊列を組み何かしらの能力を発動させる。
放たれたなんちゃって『天閃腕』はその効果を受け……たのだが、何かを切り裂くこともなく消滅していった。
「……それは?」
「放たれた攻撃をすべて取り込み、その際のダメージを分散するというもの。教祖様をお守りするための技です」
「なるほど、つまり使った人数の数だけそのダメージを減らせるのですね。ならば、これはどうでしょう──【獣王】」
そのうち会いに行こっかな?
なんて思いつつも、意思に合わせて動き出す結界の流れに沿って攻撃を始める。
武技なんてゲームシステムは使えないし、そもそもそれを使うエネルギーが無い。
「……ハァ」
「くっ、ため息を吐くほどの余裕ですか!」
「いえ、そういうことではなくてですね。あまりのめり込めていないのかな? と感じていましてね」
レベルとかステータスとかスキルとか、いちおうあやかってはいるものの、必要かと訊かれれば:DIY:以外不要な気がする。
そもそも、:DIY:自体が一種の違法なシステムな気がするし……。
「のめり込む、ですか……たしかに、教祖様のご命令とはいえ、少し加減しようとしていました……申し訳ありません」
「えっ? あ、いや、その……」
「分かりました。ならば全力で貴方を倒し、ご褒美を手に入れましょう!」
勘違いされ、本気を出されてしまう。
騎士長は「“献撃の陣”」とか言っているので、きっと何かしらヤバいことが起きることは間違いない。
何より──ルリが笑っている。
これから起きる展開が、もう予測できているからこその笑みであろう。
ちなみに隣のくっころさんは、さらに深く頭を抱えていた。
しかしまあ、ルリが笑っているのかぁ。
どういう意味合いかは置いておくとして、楽しんでくれていることに違いは無い。
なら、俺としても全力で手抜きをしながら楽しませる所存だ。
「……『SEBAS』、アレを使うぞ」
《畏まりました》
相手が複数いるので、それなりに準備が必要だ……それを『SEBAS』に任せて、俺は目の前の相手に集中するのだった。
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