虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―
奴隷王との交渉 中篇
「条件、と言っても特に細かいことを決めているわけではありません。あくまでも、貴女が【奴隷王】だからこそ頼めるという依頼があるだけです」
「妾だから……いや、【奴隷王】という職業そのものに用があるのか」
「はい。その前に一つ確認しておきたいのですが、【奴隷王】の能力で休人……最近現れる『プレイヤー』たちを隷属させて使役することはできますか?」
ここは訊いておきたかったことだ。
こちらには『SEBAS』が居るので、嘘か本当かある程度判断することができる。
なので嘘を吐かれようと、そこから真実を抽出できるというわけだな。
「できるにはできる。じゃが、一部に隷属制限が入り『ろぐあうと』なる仮死を妨げることはできないようじゃ。彼の者たちの世界への道は神々が生みだしているもの……さすがにそれを縛ることはできないわけじゃな」
「なるほど。では、その対策は?」
「……たった今、それができぬと言ったばかりじゃが?」
「[ログアウト]は防げずとも、それ以外のことは防げるのでしょう? ならば、活路はあると考えるのが妥当では?」
思念による[メニュー]操作も可能なゲームなので、手順はそれなりに面倒臭い。
しかし方法があるなら、必ず試そうとする者がいる……それが人族という存在なのは、俺たちがよく知っている。
「思考力を奪ったうえで、四肢を切り落とせばいいと思っていた。じゃが、それだと神々側から危険を察知されて、肉体から彼の者たちの魂魄を回収されてしまう」
「なるほど……では、次にどうしたと?」
「うむ。故に神々の目を避けて行えばよいと考え、投薬を繰り返していたが……どうにも上手くいかぬ」
「やはり神々はすべてを見ておられるのですね。それだけ彼らに価値があるということなのでしょうか?」
いかにもブラックな発言だが、【奴隷王】になる素質というものもあるのだろう。
そういった人格を持ち合わせているからこそ、彼女は【奴隷王】となり幾数人もの人々の上に立ち、下の者たちを使役している。
「しかし、どうにも諦めきれん。彼の者たちは誰も彼もが見た目だけは美しいからの。その内面は醜く汚れていることが多いが、それでも置いておく価値はあるじゃろう──それで、そのことを訊いてどうするのじゃ?」
「簡単なことです。『超越者』である私ですが、さすがに休人が相手となると厄介ですので策を凝らそうかと……目には目を、休人には休人をね」
「たしかに、戦力として使うのもまたよしとできるだけの力の持ち主じゃしな。うむ、それで妾に願うこととは?」
「作っていただきたいのですよ──。他でもない【奴隷王】様謹製の隷属のアイテムを」
さて、本題に入ろうか。
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