虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
歓楽の領域
「うわっ、これは……アレだな」
《旦那様の世界であれば、歓楽街とも呼べる場所でございますね》
「カジノのネオンも派手だと思ったが、やっぱりこっち系も眩しいほど輝いてるな」
出張先などで少し都会な街へ行くと、こんな風にイルミネーションを灯して客を引っ張ろうとしている気がする。
これってもうあれだよな、いわゆる誘蛾灯みたいな……。
「もう一種類の店はどこにあるんだろう?」
《周囲をロケーションしてみたところ、多くの人々が地下に居るようです。おそらく娼館と奴隷販売店が提携しているのでしょう》
「金が無い奴は奴隷にするってか? あとは身請けとかもすぐにできそうだな」
効率が良いと言えばいいんだが……見た目の良い奴隷に直接仕事をさせ、その収入で自分を解放させるとかか?
あくまで仮定でしかないので、たぶん違っていると思うけど。
「奴隷を買いたいわけじゃないけど、足りない人材の確保も大切なんだよな。魔物の奴隷もこの街には居るのか?」
《居るようですね。複数体の魔物の反応がございますので》
「カジノと暗殺ギルドは別として、他にはどこにあるんだ?」
《この場所と【非業商人】、そして『拳王』の領域です。あそこにはコロシアムが存在するので、おそらくそのためかと》
カジノにあるコロシアムには行ったが、結局『拳王』の領域にあるという最大規模のコロシアムには行ってなかったな。
俺に戦闘は向いていないし、ただ強い相手では闘う必要がないのが理由だ。
閑話休題
「【奴隷王】はどこに居る?」
《反応を見る限り、この領域でもっとも高い建物に居るように思われます》
「高い建物……あれか」
視界に入るのは、他とは格別して高い五階建ての建物だ。
さすがに【情報王】が拠点としている高層ビルには劣っているが、それでも現代に合っている雑居ビルみたいな感じである。
「違和感があるな……金融業でもやっているのか?」
《──たった今確認しました。どうやら旦那様の予想通り、あの建物にはそうしたことも行う者たちが居るようです》
「チンピラか? その役は『拳王』に似合っていなかったから、代わりなのかもしれないな……いずれにせよ、能力がちょっと気になるから会いには行きたいが」
問題はその能力だ。
文字通り【奴隷王】としての力があるのならば、物凄く厄介である。
相手を隷属状態にして使役できる……なんてものだったらそれこそ抗えない。
「──俺、というか休人以外は」
しかし、サービス開始からそれなりに時間が経過している。
前に『賭博』が休人に剣闘士っぽいことをやらせていたように、何かしらの方法で束縛してくるかもしれない。
……俺に、そういう趣味は無いからな。
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