虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
幽源の世界 その04
N2
討伐したウサギを解析して、有効な攻撃が何かを調べてもらっている。
それまでは、俺が地道に攻撃を行わなければならない……千里の道も一歩からということがあるが、それ以上に遠い道のりだな。
「箱庭よりデカいことは確定だろうが、この世界の大きさは……どうだ?」
《地球のモノと同じなのであれば、数千キロに及ぶ規模になるため、区画数も膨大なモノとなるでしょう》
「……思いっきり面倒臭いな。このまま北に行くのは止めて、一度帰ろうかな?」
《それなのですが──》
どうやら俺が居なくなると、ドローンの操作ができなくなるんだとか。
それも今は、という言葉が付くだけだが、『SEBAS』からすれば大変申し訳ない話みたいだ。
「それはまあ、構わないが……:DIY:で作れるレシピを可能な限り作ってみたいし、そもそもマッピングを頼んだのは俺だからな。たとえ数千キロだろうと、できるのであればやってみてくれ」
《畏まりました》
「けど、数千キロも飛んでいられるようなドローンだったっけ?」
《技術の革新は日々進んでおりますが、一機のみでそれはまだ不可能です。未だに数百キロが限界でございます》
たしか、数十キロが限界だとネットでやっていた気がするな……法律的にも。
魔物を使って視界共有なんてスパイのやり方ができる世界なので、あまり気にされないだろうが……そういうのって守るべきか?
ただ、現在問題となっているのは飛距離や電池ではなく──電波である。
実際に使っているのは電波ではないが、魔力を加工したものを使っているらしい。
そのため、物凄く遠くや地下まで届けることができるみたいだが……さすがに世界を超えて発信することはできないようだ。
万能執事AIである『SEBAS』だが、アイプスル以外の場所において、その活動は俺という中継器を通じて行われている。
なので、基本的に異なる世界で勝手に活動することはできない。
「中継器をこっちの世界にも置いておくしかないか。ただ、有効な魔力の波長とそもそも中継器を作成しておかないと」
カスタマイズするだけではダメだろう。
冒険世界には知り合いの住むエリアに設置しているが、その土地に合わせて造らなければならなかった。
地脈云々や存在の発覚云々……まあ後者は気にしなくてもいいと思うが、そもそもこの世界に地脈って存在するのか?
そう気になり、『SEBAS』にそれを相談してみると──
《脈自体は存在しております。たとえるならそう──『霊脈』とも呼ぶべきものが》
「……上手いな」
《お褒めに与り光栄でございます》
ともあれ、そんな霊脈に対応する機械でなければ脈の恩恵をあやかり常時起動することはできないわけだ。
困ったときの:DIY:──さぁさぁ俺を助けてくださいっと。
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