虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
幽源の世界 その02
とりあえず、初期地点で:DIY:を使う。
しっかりと機能が作動することを把握したうえで、何かこの世界限定のアイテムが無いかを脳内で検索した。
「うん、あるにはあるんだな」
この世界でしか確保できないアイテム、それを使ったレシピなどが存在するみたいだ。
──だが、作った経験があった。
「素材自体は世界に関係なく用意が可能なのか……だから前に用意した時、検索したレシピが残っているのか」
素材で検索をした場合と、世界ごとに作れるものを検索した場合──どちらも同じ結果になることが分かったな。
箱庭でも試していたが、あれはある意味同じ世界なわけで……分からなかったのだ。
「あとは──『天稔水』。よし、出た」
ポンッと軽快な音と共に、イメージ通り出現したペットボトルに入った水。
これは蘇生薬の素材として使う、超高品質な水なのだ。
蘇生薬なんかも、途中から作業化することに成功してしまって自分で作らずにいた。
初期ロットは早めに使い潰してしまった物が多く、この世界で改めて作り直さなければいけない品が多い。
「蘇生薬は作ることが確定。薄めればいろんな回復アイテムの触媒として使えるからな」
回復アイテムのレシピとは別に、必ず上位の回復アイテムを触媒として下位の回復アイテムを大量に生産する方法が存在する。
普通はなかなか行われないのだが……俺の場合は、元値がタダだからやりたい放題だ。
◆ □ ◆ □ ◆
「ふぅ~、これで回復アイテムは充分だな」
この世界特有のSPが回復できるアイテムも、蘇生薬を薄めた液体を使うことでどうにか作成に成功した。
まあ、蘇生薬ならSPも最初から回復するみたいだったがな。
「『SEBAS』、外の状況はどうなっている? あと、地図はできそうか?」
《魂魄力で生成された霧が立ち込めており、もうしばらく時間がかかりそうです。旦那様の方は……さすがでございます》
「凄いのは俺じゃなくて、:DIY:だよな。ああそうだ、そっちに回復薬を転送しておくから何かあったら使ってくれ」
《ありがとうございます。現地民との交渉の成功率が向上しました》
癒してくれた相手を、無下に扱うわけにはいかないだろう。
食料品が意味を成すか分からない世界なので、異なる方法で好感度を確保するべきだ。
幽霊って、何を食べるんだっけ?
たしか生気とか生者の感情とか……そうなると『生者』の俺って、とてつもなく美味しそうな食材に見られるのかも。
食料扱いは嫌だな……経験値稼ぎのレアな魔物扱いもあったが、食われたくてこのゲームを始めたわけでもないわけだし。
──これも調査しておかないと。
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