虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
幽源の世界 その01
幽源世界 初期地点
「ここがそうなのか……」
《──どうやら私には、幽体があると認められたようですね》
「器をもう用意してあるんだ。それに、解釈次第じゃ『幽』って字は死者云々じゃなくてもいいんだ。奥深いし、いちおうは幽かな存在でもあるんだから……まあ、気にしなくてもいいだろう」
そんな存在証明ができた『SEBAS』との会話はともかく、改めてこの世界を見渡してみよう。
何もない──ある意味アイプスルと似たような感じである。
ただ、地面や空は存在しており、ただ建物が周囲に存在していないのだ。
「ドローンはやっぱり使えないか?」
《……反応がありません。しかし、私が操作するのであれば──ご覧の通り、可能です》
「物ノ怪たちに頼むには、まだ情報が足りないからな。まずはこの場所を拠点として整備し直す必要があるか」
ドローンはしっかりと空を飛んでいる。
幽体を持つ存在が使うのであれば、無機物であろうと扱うことができるようだな。
《──もう一つ、どうやら旦那様の:DIY:で作成したものに限り、私でも使用することができるようです》
「……唯一スキルだからか? それとも、まだ何か理由があるのか? そっちの方も調査が必要かもしれないな」
《少々お待ちください、先に使えるモノと使えないモノを確認します》
暇になったので、ステータスや俺自身の状態を確かめてみる。
「ステータスは……うん、相変わらず虚弱だな。けど、HPが無くなってる……? 代わりにあるこれは……SP?」
スキルポイントではなく、ソウルポイントと読むみたいだ。
つまり魂の残量……なるほど、生命力が肉体の強さだと考えれば、幽体しか持たないこの世界では生命力は不要となる。
「次に肉体……幽霊みたいに薄れているわけじゃないのか。けど、SPが存在するってことは、減ると見えなくなるかもしれないな」
俺の場合はSPも1しかないので、薄れようが無いのだろう。
これはこの世界に住まう生命体……というか幽霊体と接触しないと分からない情報なので、後回しにしておく。
《お待たせしました。この世界で行使できるモノは、大きく分けて三種類──旦那様がスキルをお使いになられて作成されたもの、魔物の素材が使われたもの、魂魄力とも呼ぶべきものが宿っているものです》
「魂魄力……SPのことか?」
《おそらくはそうなります。付喪神、この言い方が分かりやすいかと》
使い続けることで籠もったナニカで、この世界でも認証されるってことか。
……新品のアイテムじゃダメってことか、つまり普通は消耗品はアウトになるよな。
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