神様談（１０）

　人の知ることのできない白き世界。
　それ故に存在する子供は、自身に届けられたメッセージを受けて盛り上がる。

　まるで、プレゼントを受け取った誕生日の少年みたいに。

「うん、レッツ神頼みだよ！」

「……どうした、いきなり」

「いや、ツクル君が薄々気づいていた僕に向けて祈りなんて捧げるから……ビンビンに伝わってきたんだよそれが！」

「……コヤツにそれができるとは。どれだけ捧げさせられているのやら」

　現れた老人は、はしゃぐ子供の姿を見て深くため息を吐く。
　超常的な存在でもある彼ら……その中でも子供の姿をしたソレ──創造神には膨大なエネルギーが内包されている。

　しかし、とある事情から創造神の存在を明確に知るモノは──祈るモノは多くない。
　そのうえ妨害が施されており、ただ祈りを捧げようと神へその祈りは届かずにいる。

　話題の青年は創造神より直接力を賜った結果、繋がりを与えられた（意図せず）。
　彼の貢献は神の成果、彼への感謝は神への祈りとして変換される（自動的に）。

「ところで■■■よ。●●●●の試練はまだ行われぬのか？」

「まだみたいだね。先に▲▲▲▲の加護を完全にしてからって言ってたけど……やっぱりやりすぎたかな？」

「行いそのものを見れば悪のように取られてしまうだろう。だが、先に氾濫させていなければあの魔物たちはより戦力を増して氾濫を行っていた。その点を知っている我々からすれば、正しい判断だったと思えるだろう」

　件の青年が巻き込まれた氾濫は、神々の干渉によって意図的に引き起こされた事象だ。
　ただこの出来事について知っておかねばならないこと──それはそう遠くない未来、氾濫は結局起きていたという点である。

　●●●●はそのことを知っていたため、知神である■■■の話を聞いて今回の計画を実行した。

　そうして青年の力を強化し、自身の設ける試練の達成確率を高めるためだ。

「ツクルが居る内に処理させておくことが最適だっただろう。休人から英雄が現れ始めているとはいえ、彼らとて抗いがたい存在があの迷宮ダンジョンから生みだされていたのだからな」

「きっと未来を視れる誰かに視てもらったとしても、ツクル君以上に被害を抑えられる子は誰もいないだろうね。なにせ蘇生薬が用意できるんだ、最終的な被害数はゼロにしかできないよ」

　創造神の力により、モノ作りにおいて決して他を追随させない力を宿す青年。

　彼は蘇生薬を自在に用意することが可能なため、肉体と魂■さえあれば自在に蘇生を行うことができる。

「そうだ、手伝ってくれないかな？」

「急にどうしたのだ」

「ツクル君が欲しがってるものがあってね。それに協力したいんだ」

「……仕方が無い。アヤツはお前のことで多大な迷惑を掛けている。その謝礼代わりにでもしてやろう」

　やる気に満ちた二柱の神。
　そんな二人を◆◆◆◆は、ただ羨ましそうに見ているのだった。