虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
歓迎ミニゲーム その13
「いいですか、その銃にはいくつか共通した機能が搭載されています」
「はぁっ?」
「たとえば──『マシンガン』」
俺の言葉に反応し、拳銃の銃口が一瞬輝くと──光で創られた銃弾が無数に生成され、無数に放たれる。
少年はそれを予測できていなかったので、すぐ避けようとしたが一部を受けてしまう。
「ぐはっ」
「今のは撃ち方を変更する機構ですね。音声認識でそれを実行し、以降発射されるビームが光の弾丸となります」
「な、なんだよそれ! なんでもっと、早く教えねぇんだよ!」
「いえ、これは条件を満たせば誰でも可能になる状態ですので……おそらく、誰も彼もが秘匿しているだけですよ──ほら」
「んなっ!」
辺りを見れば、同様に模擬戦をしている者たちがさまざまなモードを駆使して銃を使っている。
撃ち方を変えることはもちろんのこと、弾丸の種類もある程度変えられるようにしたのだから、カスタムのし甲斐があるだろう。
「おい、テメェら! なんでそういうのを掲示板に挙げねぇんだよ!」
『…………』
「おい、聞けよ!」
「──簡単な話、私がそうしてくださいと伝えていたからですね。正規の方法で銃を購入した方であれば、知っているはずですよ」
ブラックボックス化したシステムの中に、そういう仕組みを搭載している……そんなこと、生産ギルドの者たちによって瞬時に暴かれることだ。
なので『SEBAS』にしか分からない謎技術によって、自身で気づくか正規品購入特典である説明書を読むことでそれらが可能なようにしておいた。
だが少年は……違うみたいだな。
「たしか、扱いに困った廃棄品が粗悪な品として裏で流通しているんでしたっけ……君のそれはもしかして……あっ、すみません」
「~~~~! し、死ねぇ!」
うん、どうやら騙されたみたいだ。
防具がある程度整っているし、一定ダメージが出せればいいと最低限の安い品をパパッと購入した……といったところか?
「『拡散弾』」
「ひ、ひきょ、だ──がはっ!」
「いえいえ、情弱という言葉が情報的弱者という意味を示しているように、知らない方が悪いのですよ。たとえば……私が弱いと理解しているのであれば、最初から油断せずに倒せばよかったのです」
「うぜぇ! なんだよ、さっきからその上から目線は! 自分が弱ぇくせにレアアイテム独占してるだけで、あとは何の取り柄もない雑魚モブが何言ってんだ!」
うわっ、凄い言われよう。
まあ、似たようなことを散々チャットでされていたから特に気にはならないけど。
「では、君はそんな雑魚モブに負けたそれ以下ということで──『貫通弾』」
凝縮した一発の弾丸。
それはあっさりと少年を貫き、体を粒子にしてこの場から消し去る。
そして、俺の掌にコインが一枚降って来るのだった。
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