虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
歓迎ミニゲーム その11
≪問題:魔法世界における──≫
この時点で、俺のクイズは幕を閉じた。
すでにクイズは終了しており、掌で『?』マークが刻まれたコインを弄っている。
「いやまあ、たしかに他の世界の知識も学べるようにしてあったけどさ」
あえて言わずにいたが、クイズ大会の会場は図書館だった。
つまり──大量の本が用意されており、問題はそこから出題されるのだ。
「『SEBAS』、どうだ?」
《はい。基礎知識とはいえ、休人用という点が特殊です。これまで判明していなかった部分が解明されていきます》
「技術的な部分はクイズでも出さないみたいだし、俺にはあんまり参考にならないな。まあ、こういう魔物とか素材の情報はそれなりに役立つけど」
もちろん、:DIY:を起動すればそういった情報も即座に脳裏に浮かぶ。
だがそうでないときでも、ある程度知識を知恵にしておきたい。
使うことのできない知識は、あってもないようなもの──活用できるようになって、ようやく知恵となるのだ。
「けど、これをイベント中に全部読み漁るのは難しいだろうに……『SEBAS』はどうするつもりだ?」
《すでに腕輪は確保しておりますので、しばらくは旦那様がログアウト後に読んでいこうかと。記録さえしておけば、あとで子供たちが読むこともできるかと》
「そうだな。カエンにも頼んで、絵本を重点的に読んでもらおうかな?」
《私は言語や伝承を中心的に読んでいくつもりです。伝承の中には、『超越者』がしたものもあるかと思いますし》
うん、絶対あるだろうな。
だって『超越者』だし……理由として挙げられるほど、いろいろとやらかしているのは事実なのだから。
◆ □ ◆ □ ◆
次の会場は『バトル』──要するに戦闘行為なわけだ。
俺が勝てるわけないだろう? 生命力が1なので、掠っただけ即終了だ。
だが、これも一回しかやらなかったから貰えなかっただけで、救済として負け続けたとしてもいずれはコインを貰える。
「けど、やっぱり『SEBAS』がいれば勝ちが得られるからな。どうせなら、やっぱり勝利の証としてコインが欲しいわけだ」
《畏まりました。対戦相手には申し訳ありませんが、完全勝利を目指しましょう》
「うん、そうでないと結界がバレるし反動で死ぬかもしれない」
外部からの干渉で傷つくほど、俺はある意味繊細だからな。
相手にいっさい触れさせずに勝利することが、最大の勝利条件かもしれない。
「それじゃあ、登録してくるから。頼んだぞ『SEBAS』」
《お任せください》
さてさて、楽な相手に当たってくれればいいんだけどな。
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