虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―
歓迎ミニゲーム その07
あれから追加で『金魚すくい』を行い、一日目のミニゲーム攻略は終了となった。
ちなみに『すくい』は『掬い』と『救い』のダブルミーニングなため、回収方法は先の『射的』同様に多岐に亘る。
「……あれはあれで、一日目の最後にピッタリだったな」
《旦那様がログアウト後に解析を終えたのですが、あの金魚は『大金星魚』と呼ばれる魔物だったようです》
「ウェヌスってのは、たしか金星って意味だよな。……つまりあれでも金魚の体裁は保てていたってことか」
巨大な金魚、一言で纏めればそうなる。
だが金星に与えられた神の名の通り、なんだか金魚らしからぬ美しさを持っていた。
そのため手に入れようと近づけば近づくほど、魅了されてしまうのだ。
ちなみに一週目の俺は──魅了される以前にポイが持てなかったし、他の回収用グッズも使えなかった。
当然ながら、巨大な金魚自体を持つこともできず……ギブアップしたわけだ。
「まあ、あれは『SEBAS』の未来演算があれば簡単にクリアできるからな。そのやるべきことがスケールアップしただけで」
《いえ、旦那様のお役に立てたのであれば光栄で……おや、この台詞は何度も使い古してしまいましたね》
「まあ、そうだよな。それだけ俺が頼っているってことの証か。良いような悪いような、複雑な気分になってくるよ」
頼られることを『SEBAS』は望んでくれてはいるものの、頼りすぎては俺の父親としての威厳が失われてしまう!
子供たちに『すべて『SEBAS』頼り』などと知られてしまっては……ガクブル。
「と、とにかく張り切っていこう! つ、次はどこが近いんだ?」
《この先、50m先──『輪投げ』の会場がございます》
「そ、そうか……嫌われないようにするには補助はダメだし、けどそうしないとアイテムが手に入らないし……ああ、ダメだ。台詞だけ聞くと、完全にアウトだろ!」
《旦那様、私は旦那様によって生みだされた存在。いわば旦那様の手足となり、共にあるもの。旦那様が旦那様ご自身を使うことに、問題などありません》
そう、『SEBAS』は言うが……。
「俺にとって『SEBAS』は頼れる執事である以前に、必死に生んだ子供だからな。悪いがその理論武装は受け入れられない」
《……そう、でしたか……》
「うん、嬉しそうで何よりだ。さて、教えてくれた場所に行くとしよう」
《畏まりました》
そして、指示通り50m進んだ先には──『輪投げ』と看板がぶら提げられた建物が在るのだった。
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