虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
歓迎ミニゲーム その06
俺の生存方法を知ったら、おそらくほぼ全員が同じ方法を取るかもしれないな……できるならば、だけれど。
「まあ、普通はできないだろうな。お疲れ様だな、『SEBAS』」
《いえ、旦那様のお役に立てたのであれば光栄でございます》
「まあ、アレはさすが『SEBAS』としか言えないから、真似はできないだろうな」
《そうですね。旦那様の技術力無くして、可能とは思えません》
要するに、魔力をいっさい使わないで上空に、なおかつ音を出さなければ問題ない。
意味は違うが『雲隠れ』という言葉があるように、隠れるならば雲の中なのだ。
そんなバカげた理論を、『SEBAS』は現実のものとして可能とした。
俺が隠れていたのは上空の雲の中、展開したドローンたちが敷いた板の上でまったりとしているだけで時間が過ぎていくのだ。
もちろん、空を飛んで逃げようとする者たちのため、子鬼たちは空を翔けて捕まえてくるのだが……俺の無音飛行が可能なドローンによって、五感と魔力で捜索できない俺は無事に逃げ切った。
そして、鬼役から隠れる子鬼の絵が描かれたコインを手に入れ、再びミニゲームを求めて街の中を彷徨っている。
「本当、『SEBAS』が来てからすべてを最短でクリアできているな。これが最初から頼っていたら……うん、間違いなく一日でクリアできていたんだろう」
《ですが、旦那様は己の力のみで挑むことをお選びになりました。私はその選択を、とても誇らしいモノだと認識しております。どれだけの者が、その行いをできるでしょうか》
「いや、割とできると思うぞ」
特にゲーマーであれば、一週目はまず初見プレイをしておくものだろう。
そして人によって、二週目から情報を頼りにしたりオプション機能をオンにしてその違いを楽しむモノ……と俺は思っている。
「まあ、『SEBAS』は便利だしな。むしろ、機能が付きすぎだろう。一家に一人、一『SEBAS』! なんて売り文句がいずれできるかもしれないぞ」
《おや、それはありがたい。いずれは現実でも旦那様がたのサポートを行えるようになりたいものです》
「無理……ではないと思うぞ、うちの契約しているサーバーだと対応できないだろうし、ルリに頼み込んで巨大サーバーでも用意してもらえれば……どうにかな」
もう一つ、荒唐無稽な案があるが……こちらはいろいろと世の中に迷惑な気がするので最終案としておこう。
俺だって、世界の中心に居るなんて妄想はしない……うちの家族は居そうだけどな。
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