虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―
歓迎ミニゲーム その05
──『かくれんぼ』。
これも『だるまさんが転んだ』と同じく、判定が過剰にシビアとなっている。
五感の内、いくつかに反応があればアウトになるし、後半になると気配まで探ってくる鬼ゲーだ。
「参加者の人数に対応して、鬼の数が増加する。そして、何より協力可能だ……早め早めに参加しておくべきなんだよな」
数が多ければ鬼が増える……しかし、こちらはただ隠れる以外の選択肢を持っている。
さすがに鬼をこちらで減らすような行動はできないが、それ以外なら可能だ。
鬼を罠に嵌めたり、音で誘き寄せたり、逃げ足の速い奴が時間を稼いだり……方法は多岐に亘るだろう。
「さて、俺も頑張りますか」
ミニゲームとしての『かくれんぼ』において、鬼役は妖精種の子鬼たちがやっている。
醜悪なイメージを持つ魔子鬼と異なり、とても可愛いらしい容姿をしているので、ここでその違いを認識させたいのだろう。
ただ、その弊害として……わざと掴まろうとする者たちがチラホラいるんだよな。
やっぱり、そういった趣味の方々にはドストライクな種族なわけで……犯罪行為だけはどうか控えてもらいたい。
「音ではバレない、臭いも隠した、視覚もほぼ完璧、体温も偽装中。けど、触れられたらアウトだな」
防音結界で周囲を囲い、臭い消しですべての臭いを拭い去り、光学迷彩で姿を隠し、体温は結界で周囲と合わせている。
だが、その結界を見つけられてしまったら確実にアウトだろう。
《残り40人、まもなく後半戦となります》
「割と残ってるな……十人で損害が済んでいるのは、隠形系のスキルを多くの人が持っていたからかな?」
《ですが、ここからはそう簡単にはいかないでしょう。スキルの力を過信せず、自ら姿を隠そうとする気が無ければ発見されます》
「みたいだな。俺もそれを心がけよう」
普通の子鬼ではありえないほどに探知スキルが強化された鬼役たちは、次々と隠れている者たちを発見していく。
タッチされなければセーフなので逃げようとするのだが……そうは問屋が卸さない。
「……逃走中だな、いろんな意味で」
理論上は逃げられる速さなのだが、その逃走者の最高速度に合わせて追いかけてくるため、持久力と脚力を維持できなければいつかは捕まってしまうのだ。
「頑張ってほしいよ、逃走者諸君……というかこれ、『かくれおに』じゃないか?」
《そうかもしれませんね》
「まあ、俺としてはこっちの方がルール的にもありがたいからいいんだけど──空に居ても、無敵じゃないからな」
空から逃げ惑う同胞たちを眺めながら、結界で隔離された空間でのんびりと終了時刻をお茶を啜って待つ俺であった。
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