虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

トロッコ



 ガタンゴトンと進んでいく。
 敷かれたレールの上を、一台の乗り物が走り抜ける。

「うん、なんか冒険みたいだな」

 そう、乗っているのはトロッコだった
 完全な水平の道を、ただただ勢いよく真っ直ぐに進んでいく。
 先ほど話した機関が搭載されているので、そういうことが可能となっている。

 予め『SEBAS』が配置したのか、一定距離ごとに灯りが置かれていた。

 そんな坑道の中をトロッコが駆ける音に加え──カツンカツンと甲高い音が至る所で鳴り響いている。

「順調順調、普通に販売する分もしっかりと確保しておかないとな」

 生物の素材以外は、すべて:DIY:によって好きなだけ生みだすことができる。
 しかし、それらは生産終了後にすべてが消滅し、加工しなかったアイテムをそのまま保存しておくことはできない。

 なので、鉱石もインゴットにすればそのまま取っておけるのだが、鉱石を素材として保持しておくのは不可能。

 ならばどうするのか──単純明快、自力で掘りだせばいいだけだ。

「こういう単純作業は、人形たちにやらせるに限るな。どうせなら、そういう職業を持っている奴の動きを参考にしたいが……」

《直接解析を行わない限り、職業を持った動きなのかどうか判別が付きません。ドローンの解析は旦那様に依存しておりますので》

「あー、そういえばそうだったっけ?」

 機械たちも(:DIY:以外の)スキルを自在に使いこなしているのだが、それはあくまで俺経由で使用している。
 そのため、一定距離に俺が居なければスキルが行使できない場合が多いのだ。

 特に鑑定は、俺の視界を介してなければ使うことができない。
 俺がその場に居れば、カメラとの視界共有であろうと何か(俺では理解不可能)を偽装することでスキルを使えるらしいんだが。


 というわけで、炭鉱夫っぽい奴からスキル補正を受けた動きをコピーしたいのならば、直接俺がそれを視界に収める必要があるというわけだ。

 まあ、補正とか関係なく最適な動きを記録するなら、カメラに任せればいいんだけど。

「今は……もうN13かよ」

 少々の考察をしている間に、トロッコは凄まじい速度で地下を駆けていたようだ。

 画面を操作し、[マップ]機能で把握したその場所は──すでにN13の中でも北寄りの辺りだった。

「たしかここから、感知されづらい場所を選びながら進んでいくんだっけ?」

 そういう所は『SEBAS』に任せているので、俺が気にする問題ではない。
 だが入った瞬間、最悪侵入者としてどうにかされることだけは考えておく必要がある。

 ──策は整えてある、あとは怪しまれないようにそれを使うだけだ。


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