虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
東国巡り その02
日本と同じような国なのであれば、忍者はいくつかの派閥に分かれているだろう。
ただ、式神という便利な存在が忍者よりも使われているのなら、一度目の来訪でそれに気づけなかったのも納得だ。
「忍びの生まれは不確定だし、どの地域にもいるんだよな……『草』だっけ?」
《可能性は高いかと。しかし、今の私ではそれを見抜くことができません》
「いや、それが普通だからな。あとで違和感のある仕草でも探ってみたらどうか?」
《さすが旦那様です、すぐに実行します》
なんだかやる気になってきたのか、即座にドローンを飛ばす『SEBAS』。
おそらく、一日もしないうちに一集団の暗号を暴くんだろうな……。
やることを見つけた『SEBAS』に対して、俺は何も目的を見つけていない。
今は京都の辺りにいるわけだが、とりあえず関西地域を回ってみようと思った。
「平安風の建物で止まっているのには、何か違いがあるんだろうか。技術の停滞、それは別の技術による介入が関わっている可能性が高いんだっけ?」
《または、戦乱の数も該当するかと》
「式神が強大な力として作用すれば、明確にそれが分かれば挑まないか……『超越者』、これが答えだな」
頂点が存在している、そしてそれが周囲に知らしめられている。
この二つがあって、京の都には『陰陽師』が住んでいるのだろう。
「……って、なら東の方には」
《【情報王】のリストによると、王ではなく殿が統治をしているとのことでした》
そこは日本の仕様に合わせ、変更しているのかもしれない。
殿、と言われてバカしか浮かばないのは問題かもしれないが……まあ、会ってみれば分かることか。
「関西を巡るって決めたばかりだし、旅の省略として座標だけ見つけておいてくれ」
《畏まりました。ドローンを二機、派遣しておきましょう》
「俺はその間に、関西を……あっ」
忍者やら京都の街並みやらを考えていたせいで、それをすっかり忘れていた。
ここはVRMMOの世界で、現代のように便利な交通機関は無いわけで……こんな時代に乗れる物は──。
「前に移動した時は、高速で進む牛が来たんだっけか?」
《はい。駿牛と呼ばれる魔物でした》
「あれと同じくらいの速度は可能だろうし、まあ……ショートカットに転位をしようとしていたんだ、ちょっとぐらいいいよな」
ポケットの中から、本来であれば絶対に出てこないサイズの機械が出てくる。
それは──二輪車、この世界ではおそらく『機械皇』ぐらいしか知らないであろう、二つのタイヤで走る自動駆動の移動手段だ。
「まあ、魔力式原動機付き自転車だけど」
安全第一、そして複数の結界を構築するにはその形状が一番だったというだけだ。
さて、オートバイに乗って旅を始めよう。
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