虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

セーフティーロック 前篇



 現実で拓真に言われたこと──その意味が少しだけ理解できた気がする。

「なんだか、銃の使い手が増えてるな」

《全体のおよそ一割。すでに生産ギルド製の銃を用いているもようです》

「本当、人気だったんだな……」

 自分で作ったアイテムに殺されたくはないので、とある技術によって大量生産品に気づけるようにしたんだが……ほとんどのプレイヤーからその反応がするんだよな。

「新人が使う場合が多いのか?」

《固定ダメージ、という点でしょう。まずは銃でレベルを上げ、一定の能力値を獲得してからメインウェポンを選ぶ。これがもっとも効率の良いレベリングの方法として選ばれました──おめでとうございます、旦那様》

「あ、ありがとう」

 なんだか褒められてしまった。
 固定ダメージと言っても、異常に豊富な経験値を溜めこんだ金属の粘液などにはあまり通じない……これはソイツが金属的な性質を持つうえ、莫大な経験値を強力なシールド代わりにして光を無効化しているからだ。

 少し話が逸れたが、『光線銃』はあくまで攻撃力が低い者がそれを補うために使うのであって、強力な魔物を一瞬で倒すためのものでないことを理解してほしい。

 ──じゃないと、先ほど挙げた粘液と違ってすぐに死ぬ奴が、膨大な経験値を狙われてしまうからな。

「しかし、『運営の回し者』かぁ。運営は俺の存在を、どう認識しているんだろうな」

ゲーム開始時のもれでたブログじょうほうはともかく、今は情報が統制されております。申し訳ありません旦那様、いずれ見つけだしてみせます》

「……ハ、ハッキングはダメだぞ」

《承知しております。旦那様のご迷惑になるようなことをしては、執事失格です》

 本当、うちの万能AIはいつの間にか身も心も執事になってるんだよな。
 アイプスルに居る時で、人型のセバヌスに入っていると紅茶とか入れてくれるし……俺の気分に合わせて味を変えているのが、なかなかに乙な部分だと思う。


 閑話休題りょくちゃもでるぞ


「これから『光線銃』は、どういう風に売れていくと考えている?」

《はい。新人には、一定の売れ行きがあるでしょう。しかし、強力な魔物との戦闘が多い玄人たちにはそう多くは売れません。こちらは生産ギルドが改良に成功することを祈っている者が多いかもしれません》

「かもなー。さて、本番だ──犯罪に使われる可能性はどれくらいだ?」

《ほぼ確実に、それも対策が行われる前に遂行されるでしょう。いずれ、あの情報が外部に漏れると思われます》

 武術を嗜まずとも、銃を持つだけで人を殺せる……だからこそ現代においても銃はたくさんの人を殺している。
 故に、その対策は施してある──情報開示は最初の犯罪が起きてからだ。

 俺の生みだした武器で、悪巧みができると思うなよ(そういうコンセプトは除く)。


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