虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
VSチャージボア
N6
前回、『超越者』探しを北に進めようと考えたところで、【野生王】に出会ったため断念されたこの企画。
やることもなくなった今、久しぶりにエリア開拓的なことをしてみたくなった。
「さて、行きますか」
N5であるなだらかな草原を抜けると、そこには再び木々が生え始めた場所が。
まあ、生えている木に違いがあるので、完全なパクリではないのか。
「とりあえず……魔物の処理からか?」
前回は牛だったが、今回は猪だ。
鼻息をフガフガと荒く鳴らし、地面を抉って下準備を行って血走った目でこちらを睨みつけてくる。
……また、このパターンですか。
「もう、慣れたわ!」
『PIGOOOON!』
全力で走っても死ぬような虚弱体質、逃げることは許されない。
結界の強度を一時的に上げると、電気の性質を纏わせて受け流す。
バチバチと電流が自らの皮膚を焦がす音に恐怖感を抱いた猪は、しばらく下がったのちに──キレた。
「まあ、普通はそうなるよな……」
人間でいうなら、野菜が収穫時に反抗してきたようなものだ。
最初は首を傾げるが、心無い者であればそういった生意気な野菜に天誅を下すだろう。
猪もまた、圧倒的な弱者でしかないこの俺に反撃……というか、意にそぐわぬ行動を取られて怒り狂っているのだ。
『PUGOOOOOO!!』
「……ん、なんだ?」
そんな中、猪は大声で叫びだす。
こういうときのパターンって、俺には二つしか心当たりがない。
《旦那様、北の森より援軍が来ております》
「数は?」
《およそ十でございます》
「マジか……結界は少なくとも持たないな」
電流機能もそう長くは使えない。
結界も同時展開で構築していたわけで、あまり長時間はやらない方がいいのだ。
「となると、何か策を用意しないと……」
ポケットの中を漁り、何かいいアイテムが無いのかを確かめる。
するといいものを見つけたので、それを取りだしてこっそりと忍ばせておく。
《旦那様、残り一分での到着です》
「ああ、砂埃が見えてきたよ」
激しく揺れる大地、その先に見える視たことのあるシルエット。
『PIGYUUUU!』
こちらを笑う猪は、まるでお前はここでお仕舞いと言っているようだった。
だが、そう簡単にあきらめるわけにはいかなかった──用意したミニスコップを勢いよく投げつけ、猪たちの足元にある地面へ突き刺して告げる。
「『墜落死』!」
一瞬で生まれた巨大な穴。
猪たちは抗うこともできず、そのまま地面に叩き付けられて死んで逝く。
「突撃してくる猪だし、前の牛と合わせても『突撃猪』とかか?」
《さすが旦那様、ご明察です》
「いや、当たってるのかよ」
名は体を表すとはこういうことなのか……などと思いつつ、地の底へ落ちた魔物の素材の回収を始める俺だった。
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