虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
天の戦い その10
それからは共闘での作業となっていく。
アイテムをふんだんに使って攻撃し、侵略者たちを屠るだけの単純なお仕事。
守るべき者はしっかりと守ってもらっている今、俺に懸念材料など残っていない!
「つまり、死んでも死に切れないなんて言わずとも良いってことだな」
「アナタ~、頑張って~!」
「おう! もうとっくに頑張ってるぞー!」
さすがに『死天』製のアイテムをあるだけ使う……ということはしなかったが、まるで反射能力があるかのように、死因によってアイテムが生成された瞬間それを使い、同じ殺し方を──つまり殺り返していく。
炎を吐かれれば焼き焦が死、雷に痺れさせられれば感電死、踏みつけられれば圧死などなど、多岐に及ぶ攻撃パターンの組み合わせで反撃を繰り返していく。
「アナタ~、もっとも~っと頑張って~!」
「ああ! ルリのためならえんやこらだ!」
プレイヤーの戦闘スタイルをコピーして、その再現で戦っている場合もあった。
PSが半端ないヤツなんてゴロゴロいるので、戦場が広ければ広いほど、そのすべてが俺の糧になっていく。
「アナタ~、一気に殲滅よ~!」
「……ああ。や、やってやる!」
あれ、おかしいな?
なんだか少しずつ敵の数が増えていっているような……それなのに、味方の数が少なくなっている気がする。
後ろを振り返ってみれば──
「…………」遠い目(物理)の夫
「…………」唐突に黙る妻
「……おい」
「……し、仕方がないんだ! こ、これも聖女様の命令であって……」
教団の騎士たちが全員下がっていた。
俺の戦っている範囲だけがポッカリと空いており、その開けた空間に侵略者たちが流れ込んでいるようだ。
ルリは右手をサムズアップしており、やればできると言わんばかりのポーズを取ってこちらを見ている。
……いや、その夫への信頼感というか期待感はどこから湧いてくるんですかね?
「けどまあ、応えないわけにはいかないだろうがぁあああぁ!」
周りに誰もいないということは、いちいち範囲攻撃に人を巻き込まないかどうかを考えなくて良いということ。
──没作品が使いたい放題、選び放題というわけだな。
「人間爆弾、逝っきまーす!」
貢献イベントの終盤で使用した、時限式で爆発する爆弾。
あれから何度も強化した結果、強すぎて没となったバージョンを使い戦場を走る。
本能的にそれを危険だと感じたのか、逃げようとする侵略者たち。
しかし爆死のアイテムで加速することで、彼らに急接近し──炸裂する。
ここから始まるのは、さながら地獄絵図。
認識偽装も展開してあるし……あんまり人目に付かないはずだよね?
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