虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
天の戦い その04
そもそも、後方から妻や子供たちの活躍を見ているだけの父親に価値はあるのか?
前線で守ろうという意志があってこその父親、なんて思う者も居るだろう。
──もちろん、そんな思想を抱く者であれば死を厭うことはないだろう。
だが、むしろ死ぬことこそに意味を成してしまう今の俺だ。
肉壁にもなれず、邪魔者になるのが関の山なのは逝かずとも分かる。
「──無限生成」
気分は無限の生産活動中。
展開した無数の錬金用魔法陣に魔力を流し込み、その術式を発動させていく。
その一つ一つがアイテム生成の術式、つまり支援物資を生みだしていった。
「次はなんだ?」
《状態異常が四、武器が二、攻撃用の魔道具が六です》
《こちらは順に八、一、三です》
「……あいよっ」
陣を必要な品に合わせて改変し、再び錬金術式を構築していく。
無数のポーションが、武器が、魔道具がこの場に姿を現すと、一瞬でこの場から消えて戦場に居る二人の下へ送られる。
「──合成錬金」
二十四ある魔法陣を二つずつ対になるよう配置し直し、再度錬金を行う。
無骨な武器は属性を帯びた魔具へ、回復用ポーションは特殊な状態異常も同時に回復できる物へと変化していく。
「──複合錬金」
さらに魔法陣を対に組ませ、四枚の魔法陣が同じ錬金を行えるように組み替える。
難易度は上がったが、その分貴重なアイテムの生成が可能となった。
今の:DIY:発動中は、それすらも苦になることはない。
魔具は高値で売れる魔武具となり、特殊な回復ポーションは蘇生すらも可能にする万能ポーションとなる。
こちらもまた、即座に転送されていく。
初期同様に、期間限定でしか使えないアイテムだけどな。
《旦那様。状態異常が八、武器が三、魔道具が一です》
《こちらは二、八、二です》
「了解……」
先ほどと同じように、二十四枚に戻して指定された分の錬金を行う。
それをすぐに戦場へ送ると、今度は巨大な魔法陣を一枚構築し──
「──生体錬金」
対価をすべて:DIY:に肩代わりさせ、禁忌の発動を行使する。
巨大な魔物の素材を媒介にし、その復元を試みた。
『GUROOOOOOOOOOU!』
「……行け、侵略者を滅ぼせ」
『UGOOOOOOOOOOOOOOR!!』
カジノでかっぱらったアイテムの一つを復元しただけなので、こちらは痛くも痒くも無いのが実情だ。
また、懸念していた元『錬金王』にかけられた呪いは来ない……遅行性なのか?
「まあいい、あとで確かめれば」
六枚ずつの魔法陣にして、小さな魔物の復元を行っていく。
それらもまた、すべて戦場へ送り込まれていった。
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