虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
天の戦い その01
『!』
激しく揺れ動く地面。
ホログラムとしてこの場に居る俺たちではあるが、装置が揺れでブレるのでなんとなくそれが分かる。
『おいおい、何が起こってんだ?』
『さーてな、なんだろうな』
『これって……』
戸惑う『破天』、ワクワクする『暗天』、ハッとする『孤天』。
『…………』
『まあまあの揺れだな』
思考に耽る『統天』、そして単純な感想しか言えない『死天』。
『『孤天』、心当たりがあるのか?』
『……たぶん、レイドイベント』
『マジかよ!』
『やったことねぇけど、本当かよ』
『前兆として、揺れがあるって聞いたわ。だからただの地震じゃなきゃ、そうなる』
そしてそれを裏付けるように、俺たちの脳裏にピコーンという通知音が鳴る。
すぐにそれを確認すると、そこにはこのような文面が──
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クエスト:『五天伝説・序章』
説明:休人たちにとっての始まりの地、そこが侵略者たちによって狙われた
選ばれし者たちよ、彼の地を狙う不届き者たちから街を守るのだ
基本報酬:不明
このクエストは強制受注となります
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クエスト:『五天伝説・外伝』
説明:休人たちにとっての始まりの地、そこが侵略者たちによって狙われた
選ばれし者たちよ、彼の地を狙う不届き者たちに裁きを下すのだ
基本報酬:不明
このクエストは強制受注となります
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表と裏の『天』持ちに、この強制クエストが表示されているのだろう。
『狙いは『始まりの地』か。そして、俺たちはそこで殲滅をすればいい……』
『って、今から行くのかよ! なんかこう、ワープとか転移とかねぇのか!』
たしかに、全員が始まりの街の生産ギルドに居るように思えるが、実際はそれぞれ映像中継で別々の場所に居るわけだし。
……知らない者は、そう思うよな。
「──お前たちの下に、使いを派遣した。ソイツを使えば片道ではあるがこの場所に来ることができる。使ってくれ」
『いつの間に!』
「ふっ、悪いが一番乗りは俺だな。早く稼いでMVPを勝ち取ってやる」
ドローンに転移機能を組み込んだ型は、すでに量産済みだ。
片道しか使えないと言うのは半分本当で半分嘘だがだが、それをいちいち気にするような奴はいない。
俺がすでに、ホログラム状態から抜けてこの場に居るからだ。
……まあ、虚弱な俺だけで何ができるかと聞かれたら、なんにもできないけどな。
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