虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
機械皇 その07
それから数日、『機械皇』の技術を吸収しようといろいろなことをやった。
実際に機械を造ってみたり、座学でお勉強したりと……やり方は多岐に亘る。
本人が出てくることはなかったが、案内役の少女がすべてに答えてくれた。
問いを出せば返答し、機械を造ればアドバイスを送り、必要な物を言えばたいていは出してくれる。
「そう、まさに夢のような時間だった……だが夢は覚めるモノ。支払いを拒んで滞納していれば、やがて痺れを切らす」
《すでに解析は済んでおりますが、いかがなされますか?》
「こっちとしても、あまり強引な解決は望みたくない。たしかに誘われたのはこっちで、贅沢の限りを尽くしておきながらささいな要求も叶えていないのはこっちだ」
封じてはいるが、今もなお機械は俺の体の秘密を暴こうと稼働している。
休人、いや星渡りの民の肉体構造など、たしかに貴重なんだろう……それも『超越者』に至るようなものは。
だが、初めの頃に『SEBAS』に伝えたように、俺は非人道的なことは好まない。
他者に自分の考えを押しつけるのは悪いことだと言われるが、自分の身の危険に関しているのだから合法として扱ってもらおう。
「──と、いうわけです。そろそろ直接ご本人と会うことはできませんか」
「吃驚。まさか、気づいていたのですか」
「……棒読みで伝えられても、あまり好ましくはありません。そちらも機械を破壊されるのは好ましくないでしょうし、ご相談していただけないでしょうか?」
「不要。これは既定の展開、『生者』がこの話を持ち掛けることは」
そりゃあ、うんざりすることも分かっていてカメラとかを設置している側であれば想定済みだよな。
まだ見ぬ『機械皇』に少しだけ怒りを覚えつつ、冷静に話を続ける。
「では、『機械皇』さんはなんと」
「実証。試作機との戦闘。勝ち負けに問わず終了後、会うとのことです」
「……分かりました。その条件で飲ませていただきましょう」
「賢明。良き判断だと称賛しましょう」
それでは、と言って少女は俺を先導する。
目的地はすでに分かっていた、この施設でもっとも広く頑丈な場所。
──実験室、と呼ばれる部屋だ。
実際それは当たっていて、部屋に入ると設置されたモニターが起動する。
『よく来てくれたな、『生者』。客人とはいえ、君は『超越者』。どのような扱いであろうと、必ずこうなると分かっていた』
「だから挑発をした、と。あまり上手く言えませんが、おざなりではありませんか?」
『それはそうだろう。人と接することが少ないのだ、対話力も下がっている』
モニターが設置されている壁の近くに魔法陣が浮かぶと、ゆっくりとナニカが現れる。
最初から警戒はしていたが、その姿を見て俺は驚くことになる。
「そんな、貴方は……!」
その正体とは──。
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