虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
聞き取り調査
「原因不明、突如数が増えたか……謎が多いみたいだな、今回の問題」
《どうされますか?》
代表との話し合いを済ませ、古代人たちの築いた城の中を練り歩く。
城は古代人全員を収容できるだけの広さが確保されており、中はかなり賑やかだ。
城塞都市、という単語は聞いたことがあるが……城内都市というのは初めてだな。
「どうされる、と言われてもな……どれだけ理由があったって、最終的に悪い奴を考えてみれば──全部俺になるわけだし」
《いえ、それを言うのであれば私が》
「──『SEBAS』は悪くないさ。もともとは、俺がやらなきゃならなかったことなんだし……それを人に任せて、飄々と生きてきた罰が当たったんだろう。このタイミングでそんなことになったのも、それで納得だ」
つい数日前から起こったらしい。
時系列的なモノがあれば、ちょうど天空の城で無双し終えた頃。
調子に乗ったから、なんて可能性もありえてしまうぐらいだ。
「とりあえず、ヘノプスの所に行ってみる。そのあと例の場所を調べ尽くして、何か大切な情報が無いかを確認しておこう」
そうと決まれば、しっかりと門から出て湖まで移動を行う。
途中の城から見えない場所で、空間転位も忘れずに使用するぞ。
◆ □ ◆ □ ◆
入口でさんざん味わった水だが、外から見ればずいぶんと映える場所となっている。
到着後に連絡を取りつけ、待機すること約五分──ヘノプスが現れた。
『遅れてすみません、マスター』
「ちなみに、こっちに来てからずっと不思議に思ってたんだが……なんでそんな敬語を使うようになったんだ?」
『好きにしていい、とマスターよりお言葉を頂戴しております故。これまでに身に着けた敬語を使わせていただいている所存です』
「まあ、いいんだけどさ。それより今の状況について、ヘノプスはどれくらい察しがついているんだ?」
箱庭の守護獣であるヘノプスであれば、今の状況についてある程度察しがついているだろう……と思っていたんだが。
『申し訳ございません、マスター。その件に関しては、情報が開示できません』
「……へー。箱庭をいちおうは支配しているこの俺にも、言えないことなのか?」
『ッ……! そうでございます』
うん、これで答えが分かった。
この場合、沈黙が何よりの回答となっているのはヘノプスも分かっていただろう。
言える言えないは芝居の一つ──そもそも俺の上位者なんて、そう存在はしない。
「上はいったい、何を望んでいるんだか」
『それこそ、存じ上げません』
まあ、それもそうだな。
新人への、神様の試練ってヤツなのか?
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