虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
古代人との再会
──古代世界。
かつてこの地を訪れた俺は、その閉じた世界をそう呼んだ。
中生代の生物が魔力を持った存在として、今なお現存する在らざる地。
そこには時代の異物とも呼べるような人族が暮らしており、環境に適応しながら生活をしていた。
そのさいは彼らの問題を解決すべく、世界の守護獣を倒したりもしたのだが……それはまあ、別の話だ。
◆ □ ◆ □ ◆
「──要するにここは、実験場ってわけ」
空を舞うプテラノドンっぽい魔物を見ながら、一人呟く。
不自然な風を起きているのは、きっとその両翼から放つ風魔法の影響だろう。
魔力の流れまで見える双眼鏡を使い、納得しておいた。
「そもそも『箱庭』だしな。閉じられていた以上、そこにはなんらかの目的があった」
守護獣を倒そうとしたのは、彼らにとってそれが生き延びるための唯一の手段だと思っていたから。
故に立ち上がり、武器を取り、世界を管理していた守護獣を──殺した。
世界は開かれ、抜け出ることもできるようになったのだが……入口は俺が入ってきた場所しか存在せず、彼らに長時間呼吸を不要としない方法が無かったため、結局この世界に居続けることを選んだ。
なぜ彼らが、世界を脱出しようとしたのかにも理由があるのだが──それもカットで。
「しかしまあ、なかなか迎えが来ない……俺の方から出向いた方が正解か?」
ヘノプスを通じ、連絡は行った。
だが待つこと一時間、俺は自ら指定した場所から一歩として動けずにいる。
そのため椅子で寛いで上を仰いでいた。
舞う鳥は鳥ではなく恐竜の一種、そんなありえない世界がここでは常識だ。
餌付けのポップコーンも効かない奴らなので、結界を周囲に展開している以外、なんだか現実でもありそうな光景な気がする。
「『SEBAS』、周囲はどうなってる?」
《もうしばらくかかりそうです。座標に関しては、すでに確認済みです。前回の登録場所に建物があるため、転位は控えた方がよいとも提言しておきます》
「そうか……なら、ここに着くのはあとどれくらいだ?」
《魔物との戦闘を除けば、ここまでの作業想定時間は十五分程度かと》
今さら待つ時間が増えようと、あまり変わらないと思えてきた。
というか、暇を潰すアイテムに関してその保有量で優るプレイヤーは独りとして存在しないと自負している俺だ……悲しくはなってくるが、それでも時間だけは経過できる。
「なら、待ちますか」
そうして待機すること十五分──の二倍である三十分。
ついに彼ら──古代人との再会を果たす。
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