虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―
神様談(08)
???
「うーん……今回も今回でやらかしたねー」
「死者を星渡りの民のみにしたのは、こちらとしても助かった。お蔭で仕事をせずに済んだのだからな」
人には観測することのできないどこか。
何もない真っ白な世界で彼らは話す。
目の前にはモニターが存在し、バトルロイヤルイベントの映像が再生されている。
「というかあれ、ツクルたちの世界の物だよね? ◆◆◆◆、資料を頂戴!」
「──こちらを」
「ふむ……たしかに酷似しておるな」
◆◆◆◆と呼ばれる神々しい女性が持ってきた、紙で束ねられた資料を捲る老人。
子供はジーッと映像を見ながら、老人の反応を確かめる。
「まったく、誰があのような物を用意したのだろうか」
「アッチに干渉した奴って考えれば、だいぶ答えも絞れるけどさ。さらに道楽関係を考えみると……」
「なるほど。■■■、お前が当て嵌まるということか」
もちろん、そんな事実は存在しない。
子供はずっとこの空間で映像越しにツクルの活躍を見ていたわけで、そのような工作を行う暇などいっさい無かったのだ。
──死の権能を持つ老人は、創造の権能を持つ子供に問いかける。
「心当たりはあるのか?」
「有りすぎて困るというか……その気になれば、上級神は誰でもできるよね?」
「まあ、そうだろうな」
「さすがに◆◆◆◆みたいな見習いには無理だろうけど、始まる直前で干渉すれば記憶から幻想を生みだすこともできる。やり方は正直、いろいろとある」
荒廃した天空の城。
それが意味する抽象的なイメージは、さまざまな神々の権能と絡んでいる。
そのため、あの状態の城であれば大半の神が権能の範囲内の事象として、城そのものを想像することすらできるのだ。
「ところで、【救星者】は……」
「ああ、うん! ようやく一人、協力者を得たところだよ。けどまあ、彼も気難しいからねー。自分で確かめないと、解放の手伝いはしてくれないみたい」
「……アヤツか」
「うん、たぶん想像通りかな? 始めようと思っていたものも、ようやく整えられたみたいだし」
老人は思い当たる神をイメージし……ため息を吐く。
どうして最初の協力者がアイツなのだ、他の奴らはどうしたのだと。
「──再び神の試練を与えねばならんのか」
「ツクル君には悪いけど、これも彼の力を強くするために必要なことだよ。彼も彼で、納得してくれるさ」
「……いや、そうではない」
首を傾げる子供に、ゆっくりと自身の懸念事項を伝える。
それを聞いた子供は、あーと理解した。
「──そもそもすぐに死ぬツクルにとって、試練ほど進まぬものはないではないか」
「……うん、けど対策はできるんだよ」
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