虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
バトルロイヤル その12
アイプスル
「そして、お城を手に入れた」
簡単に纏めれば、そういうことだ。
どうやら支配した場所に関するアイテムが手に入れられるようで、お城もアイテム扱いで回収できた。
「外の世界に持ち込んだら、完全に俺が犯人だと気づかれるな」
掲示板曰く、ポイントの多さからアイテム商人とロボット兵を操った者は同じ奴だと。
そして、ソイツは一位の人物だと世に知れ渡っている。
まあ、ポイントがぶっちぎりだったようなのでそりゃ当然なんだけどさ。
死の商人と呼ぶ奴もいたらしいし、どうにも唸ってしまうよ。
「『SEBAS』、管理はどうだ?」
《擬似回路を繋げ、星脈との接続も完了しました。以降の管理は、こちらで行います》
「ああ、ぜひ頼む……元の城みたいに荒廃させたくはないからな」
城の管理を俺一人でできるわけもなく、俺が居ようと何かできるわけでもない。
万能執事AIである『SEBAS』の操る装置に任せておけば、むしろ放置していても万全の状態となっているだろう。
「今回のイベントで、また新たな戦力を得ることができた。飛行技術も得られたし、対空戦もより安全な形で進めることができる」
《左様にございますね》
「招待状も渡せたし、例の場所に使いを派遣しておこう。よくよく考えれば、ドローンがあるのに使わない理由は無かったな」
直接会いたいが、今会ってしまえば俺という存在が世間に知れ渡ってしまう。
ショウやマイ、ルリたちには彼らが望むままにこのゲームを楽しんでもらいたい……俺がそこに行ってしまえば、悪名高き奴がいっしょにいることで、何か言われるかもしれないではないか。
「破壊の限りを尽くしたわけだが、いっそのこと行商人プレイ以外にもやってみるか。そうだなー、せっかくメンバー集めには困らない場所があるわけだし、やってみてつまらないなら辞めればいい」
このVRMMO──Every Holiday Onlineでは、やりたいことをやることが望まれている。
そこでやるべきことが、王様の接待と時々しかやらない行商人プレイというのも少しアレではないか?
「冠する天は技巧と冒険と死と統べること。技巧と冒険はいつもやってるし、死はいつも俺の隣にいるわけだから問題ない」
となれば、残っているのは唯一つ。
「『統天』っぽいことを、やってみることにするか。『超越者』が関わってくるとロクでもない展開になりそうだし、どうにかこっそり……いや、むしろ巻き込んだ方が盛大になるのかもな」
まあどちらにしても、誰かを束ねるなんて難しいんだけどさ。
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