虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
世界考察
集めた情報を『SEBAS』に伝え、それが他のプレイヤーたちに伝わっているかどうかを確認してもらった。
《秘匿されております》
「ああ、まあ分かっていたけどさ」
先行くプレイヤーたちにとって、ナウな情報とは財源にもなるわけで……それを隠しておきたい気持ちは仕方ないとも思える。
情報屋であろうと、タダで公開することしかできない掲示板などすぐには使わないだろう──戦闘職よりも稼ぐ方法が少ないのだから、こちらに至っては至極真っ当な理由だ。
「タクマは理由があってのことだから、まあ別にいいんだが……ショウに寄生して、そういうことを考えている輩だったら、お父さんとして頑張らないとな」
あっ、でも周りが女の子ばかりで大変だーとか言っていた気がするな。
つまり、ショウのパーティーはハーレム状態なわけで……俺には対応できないか。
いずれはマイかルリが、本当に問題があるならばどうにかするだろう。
女性問題は、女性こそがよく理解している問題──そう、男が介入しようとしても、どうしようもないのだ。
「しかし、あの世界もかなり国が存在するんだな。さすが、冒険世界の名を冠しているだけのことはある。そう考えると、この世界にはいったい何があったんだか」
《……いっさいの情報がございません。神代とも別、真の意味で原初の世界なのではと推測を立ててはいますが》
「つまり、デバックモードってことか?」
《はい。山や海など、地形がすぐに確認できる場所に集っていたことから、実験用としても使われていたのかと……》
ああ、世界は広いな。
そう考えると、なぜ:DIY:を得た俺はここへ向かわされたのだろうか。
その点だけ抜き取れば、いかにも主人公にありそうなイベントだが……まあ、ランダムの弊害というヤツだろう。
何も採取スポットの無い秘境、意図があるのであればきっと採取スポットを作れというものだったのかもしれない。
「海はまだ、魚介類しかいない。山はまだ、動物しかいない。森には魔物が居るが、それ以外の生命の生存範囲は狭い」
そう、動物は生まれたのだ。
生物は複製できない中、よくもまあここまでやってきたと感心する。
魔道具による無茶を推し進めた結果、地球のやってきたことをかなりスピーディーに進めることができた。
「どこかで困っている奴らが居れば、ここへ招き入れるんだけどな。あの世界に、そんな場所があるかと聞かれると……微妙だな」
都合よく、環境に苦しんでいる物など俺の前に現れないのだ。
そう、主人公でもなければな!
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