虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
革命 その13
アイテムの作成を終えると、【暗殺王】と英雄が待つ場所に戻る。
その間、待ってもらっていたわけだが……どのようにして時間を潰していたんだろう。
「──と、いったわけでこちらの魔道具をご紹介しましょう」
「どういうわけなのだ」
『それに、どうみても神代魔道具には見えないんだけど……どういうことなのかな?』
そりゃあ掌サイズの魔道具を見せられて、これがそうですと言われても疑うよな。
今回必要なのは神代魔道具ではなく、それと同様のことができるアイテムだ。
「わざわざ同じもので無くとも、似たことができれば問題ない……そうですよね?」
「……巡らせる食料さえ手に入れば、構わない。たしかにそうなのだが」
『こっちも同じ。追加で用意できるから、交渉を受けたんだから……もし、違うというのなら分かっているね?』
「ええ、当然ですよ。約束事は、しっかりと守ることが信念ですので」
大きさの問題はホイホ°イカプセルで解決するし、オリジナル要素を組み込んでいいのであれば、効率よく生産が可能だ。
「──では、試してみましょうか」
箱に収めたその製造ラインそのものを、人形と戦った広い場所で起動させる。
王道の白い煙が辺りを包み、中から封じていたその全貌が露わとなった。
「これこそが、私がご用意した神代魔道具の模造品……『万造の絨毯(仮)』です」
『「……絨毯?」』
二つのサークルが描かれたその絨毯は、ただ巨大としか称することができない。
その内側にはさまざまな言語や法則で編み込んだ術式があるのだが、それは丁寧に隠しているのでシンプルな模様に見えるわけだ。
「【暗殺王】さん、いちおう確認しておきます……元となったあの神代魔道具も、何かを対価にしていましたよね?」
『そうだね。魔力があれば、ほとんどの物が作れる。人形であれば、一秒待つだけで一体作る分の魔力が溜まるよ』
「……それをなんと! こちらの魔道具であれば効率的に作成できます!」
某社長のような高い声で、絨毯を示す。
やはりこういったこともしないと、わざわざゲームをしている感が出ないな。
まあ、元ネタが分かっていないので、何もツッコまれないのだが。
『どれくらい?』
「魔力の自然徴収はできませんが、注いだ分望む物が生みだせます。最低品質の魔石を使用した場合は……人形を十体ほど複製して用意できますよ」
『へー、それは凄い』
なぜ凄いかというと、品質の低い魔石は人工的に作ることができるからだ。
完全な複製ができないことは予め承知してもらっているが、そんな量産が可能な品で複製ができるのであれば楽だろう。
──次は、使い方についての説明だな。
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