虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
革命 その10
工場の中では、凄まじい速度で人形を生産されていた。
プラモデルって、こんな感じだっけ? と思えるような工場の手際に驚きだ。
「工場内では、そんなに暴れられないのか。だから射撃系は控えていると……」
まあ、それでも刺殺や撲殺、殴殺などは未だに続いているのだから恐ろしさは変わらないんだよなー。
一撃一撃を受けるたびに、死因がストックされていく──ここなら監視もできないし、本気モードを出すことができるか。
「──銃殺」
銃弾が心臓を貫き、死因になるという事象だけがその場に具現化する。
すなわち、距離や隔てなどいっさいを無視し、対象を射殺すわけだ。
「──焼殺」
人形に灯った火は一瞬で燃え盛り、周辺の人形を巻き込んで灰へと変えていく。
ただし、人形以外にいっさいの変化は起きずにそのままの状態を維持する。
……死は生きとし生きるモノにしか起きない事象なため、機械や壁には及ばないのだ。
「──圧殺」
まるで何かにプレスされたかのように、一帯の人形がすべて地面にへばりつく。
俺が死んだときは、重力でなく魔物による踏みつぶしだったんだが……足跡が残っているわけでもないし、重力で再現されているんだろうな。
「遠い、遠いなー。いつになったら、届くのか? ──推爆」
再び推進力を得て、制御盤の置かれている場所へ向かおうとする。
距離は問題ではないが、人形たちが俺の動きを止めようと必死の動きをしているので、せっかくの爆発による加速も、すぐに終わってしまう。
「転移が使えれば……楽だったのにな──溺死、凍死、転落死」
人形の周りに水を生みだし、それらを別の死因によって固める。
進んだ先の人形は、どこに繋がっているかも分からない穴に沈めて消し飛ばす。
《演算完了しました。十回分で可能です》
「分かった」
丁寧に対処をしていたが、それはこの瞬間のためであった。
「一気にいけ──叩殺を十回分!」
脇腹を殴られるような感覚が、速度の低下が起きるたびに発生する。
痛覚をシャットアウトしているので気にはならないが、その一撃一撃が人を殺すことができるものだ。
言葉を発することもできず、人形ごと目的地へと突き進む。
俺に纏わりついた人形は、叩殺が起きるたびに別方向へ吹き飛ばされる。
……体が凹んでいるんだが、俺の体って原型を留めているのかな?
「──これが、最後の難関かな?」
これまでの白い無機質な人形とは異なり、少しばかり人間っぽい造形をした黒い人形が装置の制御盤を守っている。
本来であれば、熱い戦いがここから始まるわけだが──
「斬殺」
それらは一瞬で斬り裂かれ、俺の前に阻むものは何も存在しなくなる。
さて、制御装置を弄らせてもらおうか。
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