虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
情報ギルド その15
しばらくの間タブレットを操作して遊んでいると、『SEBAS』がメインコンピュータに対する解析を終わらせてくれた。
「そりゃっ、はりゃっ、うぉおりゃぁ!」
パズル物のゲームをやっていたのだが、今まさに絶頂のタイミング──といったところで声がかかる。
《お待たせしました、旦那様》
「……ああ、もう終わったのか」
《旦那様をお待ちしていたため、少々過ぎてしまいました》
まあ、ほんの少し早く伝えられていれば、ミスって気が立ってしまったかもしれない。
絶妙なタイミングで伝えられたからこそ、楽しい気分でそれを受け入れられたな。
《隠滅のため削除されていたデータを復元することに成功しました。また、旦那様のタブレットへの不正なアクセスを防ぎました》
「オフラインって、わけじゃないよな? それだとアプリができなくなるし」
《ファイアウォールを強化しただけだと思っていただければ》
つまり、セキュリティを固めて一方的に繋げられるようにしたのか……バックドアとかじゃなきゃいいんだけど。
ハッキングしている時点で、あんまりそういうことで揉める権利は無いがな。
「それで、何か面白い情報はあったか? とうより、【情報王】がここに来る前のデータとかはあったのか?」
《神代の情報は別の場所で保存されているのか、いっさいの情報がございませんでした。また、【情報王】がアクセスする前の情報も消滅させられていました。おそらく使用者が変更すると、それ以前の情報が抹消されるプログラムが施されているのかと……》
ある意味において、素晴らしいアイデアだと思う。
俺たちが隠す秘蔵コレクションの数々も、自動的に消してくれるということだろ?
このシステムは、ぜひ地球にも導入するべきではないか。
使用者に合わせて開けるプログラムに制限させ、起こってはいけない過ちを予め防止するのだ……男も女も、うちに秘めた隠したいナニカというものがあるだろう。
《サーバーは物理的に隔離されており、中心地に置かれています。しかし場所が不定期に移動するため、誰もその地に辿り着けていないわけです》
「特殊条件でも無い限り、街の全部を把握したはずなのに見つけられないなんてないのにな。どうやったらそこに行けるのか、分からないからみんな探しているのか」
行っていない領域内の、隠された神代魔道具にヒントが隠されているのかもな。
さっき貰った【情報王】の資料に、だいたいの情報は記されていた。
──それじゃあ、バレる前に次の場所に行くことにしようか。
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