虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
情報ギルド その04
「俺の格好もアレな感じにしたせいか、ログアウトした気分になるな……」
ザ・カンパニーとでも言っておこうか。
中の構造もまた、外から見た光景同様に企業のビルみたいであった。
そうした場に合わせるべきとの申告を受けて、俺の格好はスーツのようなものに偽装してある。
──周りにはファンタジー風の鎧などを纏う奴も居るし、そこまで気にしなくてもいいと思うけどな。
「まずは、カード無しで訊ける情報を確認しておこうかな?」
カジノでやったように、素の状態でどこまでやれるかを確かめることに。
情報を聞けるカウンターのような場所に並ぶ……さすが本部なだけあって、行列も半端ない長さである。
「もちろん、それはカードを持たない……あるいは質が低いカードの持ち主だけだぞ」
カジノにおけるVIP会員同様、エリアが区分されているのだ。
荒くれっぽい奴や休人っぽい奴は、こうして行列に並ぶ。
だが、それ以外の──少し上等な装備を身に着けた──者たちは、俺の居る一階ではなく上階へ向かっていく。
「カードの質を上げるには……どうするんだろうな? まあ、それでも聞いてみるか」
なんだか行列は、速い速度で減っていく。
おかしいな? 人数と時間に差がありすぎる気がするんだが……悪い意味で。
やがて、俺の番がやってくる。
目の前には見た目麗しい女性、まあこういう場所では当然だな。
「情報ギルドへようこそ。初めてのご使用ですか?」
「はい。初めてです」
「では……初回料は銀貨一枚、それで一分の質問となります」
有する情報が多い分、代金が多いのかな。
銀貨一枚といえば、節約すれば一週間は生きていけるぐらいの金額だし。
「では──こちらでお願いします」
「……あの、本当に初めてですか?」
「ええ、そうですよ」
質問に時間制限があることはある程度予測できたので、質問をメモに纏めておいた。
お姉さんも仕事としてやっているんだし、これくらいは予測していたみたいだな。
「……全部となると、時間が足りませんが」
「できるなら、早口で良いのですべて説明していただけると助かります。あっ、聞き取るのは得意ですので」
「分かりました──始めますよ」
そう言って、お姉さんは一分の時間をギリギリまで使い、早口でメモに記された質問の回答を行ってくれた。
滑らかな舌がスラスラと言葉を綴り、できるだけ聞き取りやすい声で教えてくれる。
もちろん、それでも早口な分理解に苦しむことに……というか、俺には無理だった。
(頑張ってくれよ、『SEBAS』)
録音機能はバッチリである。
「SF」の人気作品
書籍化作品
-
-
93
-
-
35
-
-
17
-
-
149
-
-
37
-
-
841
-
-
140
-
-
49989
-
-
39
コメント