虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―
アジト その05
「──なんというか、これは……」
「言っていいんだぞ、雑多だって」
「はい……そう、なんですけどね」
ガラクタの山、と言っても構わない。
しっかりと整理をしていなかったせいか、そこは種類や価値に問わず散らかった大量のアイテムが並んでいる。
「部下に運び込ませた物が、ここには集まっている。ここにある物は、ほとんどが自由に使っていい物だ。お目当ての品になりそうなヤツは……あの先だな」
「……いや、山しか無いんですけど」
「すまないな。ちょっと待ってくれれば、すぐに退かそう」
山は一つではなく、何峰も連なっている。
上に行くにつれて、なんだか種類が纏まっている気がするな。
「それに関しては、こちらでやりますよ──起動せよ」
「! なんだ、それは……」
「マジックハンド、ですよ」
「魔法の手、か……」
ポケットの中からヌルヌルと現れた、巨大な二本の手が山を掻き分ける。
──同時に、『SEBAS』が見つけた目ぼしい品を回収しておく。
自由に回収して良いと言っていたんだし、好きなだけ仕舞っておこう。
「……凄いな、『生者』は」
「簡単な話ですよ。彼──『拳王』のような方の、願いを受け入れて叶える。その報酬として、いろいろと便利な品を授かっているわけですよ」
「願い? 彼らにそのようなことが……」
「いつだって、誰だって、人であれば願いを抱くものです。足掻きに足掻いて足掻き続けた人はいつしか、ささやかな想いを抱くのです。……そして、その想いを実らせるのが私の小さなお仕事です」
俺には理解できないことを、時に望まれることもあった。
だがそれでも、最善を尽くした。
……まあ、要するにわがままな人々に俺の不要なアイテムを押し付けてきただけだが。
適当に作った物を今さら再製作する気もなかったので、ある意味において最善だろ?
「──準備ができました。そちらの扉には、何やら術式がありますね?」
「あ、ああ……それはこの鍵で開ける。それじゃあ、始めようか」
山を退かすことで見えてきた、天井まで届く巨大な扉。
鍵穴は無いのだが、たしかにヴィキンの持つアイテムは鍵に見える。
扉に近づくヴィキン。
鍵穴も無い扉の前に立つと、鍵を扉にゆっくりと突き刺そうとする。
すると、そこに鍵穴が出現する。
複雑な術式が扉いっぱいに展開され、その中に収めた品々の重要さを示しだす。
「──じゃあ、行こうか」
「はい、お願いします」
ゴゴゴゴッと揺れ動く扉を見ながら、俺たちはそう話し合った。
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