虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―
悪鬼 その03
「どちらがいいですか? 力尽くで捻じ伏せる方法と平和的に解決する方法」
「ふっ。無論、力尽くだ。私を再度封じるも殺すも好きにしろ。奴とは違う、そう知らしめてみせろ」
「……まあ、考えてみますよ」
もう一度『死天』で生成した最強アイテムでも使おうと思ったが、なんだか不味い気がするので中止だ。
だがそうなると、なかなかに困難な戦いとなりそうだな。
「まあ、これだけは使わせてもらいますよ。無力な普人が、貴方のような物ノ怪に抗うための手段です」
「……なんだ、それは」
「すぐに分かりますよ」
注射器型のアイテムを取り出すと、悪鬼に近づき注入を試みる。
当然、そうならないように抵抗されるわけだが……甘い。
「消えた!」
「転移、擬似ですけどね」
「ぐっ!」
擬似転移装置を作動させ、悪鬼の首の辺りに注射を刺して液体を流し込む。
「何をした!」
「どうです、生命力に変化は?」
「再生……しない?」
「まあ、つまりはそういうことです。これは数日の間続きますが、自然に治るものですのでご安心を……そのときまで、いっさい回復しませんが」
ちなみにこれ、呪いの魔道具で自分に回復阻害をかけた状態で死ぬと手に入る。
……はい、結局『死天』産のアイテムを使用しました。
「それじゃあ、行きますよ」
「……来い」
拳を構え、走りだす。
勢いよく悪鬼の足元へ向けて──殴る!
ポコッ
「「…………」」
足が降ろされ、再び俺はペチャンコにされてしまう。
すぐに体はリセットされ、真っ新な状態で再度攻撃を行っていく。
ポコッ ブチュ ポコッ ブチュ
「効かぬ効かぬ効かぬ! 貴様の力がなんであれ、そのような児戯、意味もないわ!」
「そうですか? 塵も積もれば山となる。この言葉に聞き覚えは?」
「無いわ!」
「そうですか……まあ、分かりやすく説明するなら──回復できない貴方に、勝ち目などまったくないと言うことですよ」
これを言った途端、スタンプの速度が向上したのは言うまでもない。
この場合のスタンプとは、語源である踏み付けという意味であるのは言うまでもない。
「こ、れから、長い間、共に、戦うパー、トナー。よけれ、ば友好的に、接しても、らいたいで、すね」
「いずれ仕組みを暴けば、貴様など脆弱な人でしかない。死んで死んで死に続けろ。そして絶望しろ、貴様は決して抗えない力の前に立ってしまったと」
「はて、さて、恐怖に怯え、るのはどちらでしょうね? いつま、で続くか分、かりま、せんが、この武踏、を楽しもう、じゃあ、りません、か」
殴るの『武』と踏むの『踏」で武踏にしているのは、少し上手いと思わないか?
なんて変な思考を生みながら、再び拳を振るい始めた。
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