虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
陰陽師 その03
とりあえず前座はここで終わった。
ここからは、しっかりとした事情を聞き取る段階に入る。
「──つまり、昔の人が封じた魑魅魍魎が目覚めると。式神だけでは足りないから、暇そうな人を援軍として使ったと」
「『生者』はんはお強い、何度も『騎士王』はんが言うてはりましたよ。せやからウチは一火に頼んで、『生者』はんをお呼びしたんや。頼めます?」
「報酬さえいただければ、やりますよ。さすがに呼ばれる必要のあるものが相手ならば、死を覚悟しなければならない戦いになりそうですので」
「……何を、お求めで?」
訝しげな瞳。
彼女にどういった考えがあろうと、事実呼びだしたのはあちらで呼ばれたのはこっち。
過度な願いでなければ、ある程度叶える必要があった。
「些細なことです。式神との契約に関する基礎知識、そして契約に必要なアイテムを一式欲しいですね」
「……結果次第、ということでどうです?」
「最低条件として情報が欲しいです。評価はともかく、ただ働きはごめんですよ」
「分かりました。あんさんが一体でも封印できたら、うちも準備しますわ」
「はい、ありがとうございます」
細かい事情は終わってからでも構わない。
今はその魑魅魍魎たちを封印して、報酬の情報を手に入れる準備をしよう。
◆ □ ◆ □ ◆
俺の担当する場所は、艮の山奥に潜む悪鬼だそうで。
予め異相空間と呼ばれる場所に封じられているらしく、どれだけ暴れて暴れられようと問題ないとのことだ。
「そこら辺は、西洋の『騎士王』と似たような用意をしておくんだな」
あちらは賢者が魔術を用いて封印をする。
大きな違いは個人がやるか集団でやるかぐらいか? あっちは質が高いからな。
「……『SEBAS』、どうだ?」
《未だに憑いております。すぐに払うこともできますが、危険かと》
「逃走を防ぐため、それだけだと良いんだけどな。そのせいで通常機は制限されたし、あまり手段を減らさないでほしいよ」
現在俺には、一体の式神が憑いている。
……うん、『憑いて』いるんだ。
一火たちのようなあらゆることに対応できる──戦力となる式神ではなく、偵察などに特化した式神。
透明な火の玉のようなものが上空でふわふわと漂い、俺を観察していた。
「どうするか……『SEBAS』、偽装データの送信はできるか?」
《仙術であれば、どうにかなるかと。すぐにシステムを構築します。旦那様は不自然にならない程度に行動を始めてください》
「了解した。できるだけ早めに頼む」
異相空間には、山奥に貼られた札に魔力を籠めることで向かえる。
ゆっくりと札に触り魔力を流し──その場所へ侵入した。
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